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EV・電動化部品の放電加工|モーターコア金型・バスバー・eAxle部品を試作1個から量産まで

自動車の電動化(EV・HEV・PHEV)で新しく必要になる部品は、モーターコア(積層コア)、ヘアピン巻線、バスバー、eAxleの減速機、インバータ、電池ケースなど、どれも「硬い材料を高精度に」「薄い材料をバリなく」「角のある穴を正確に」作る工程を含みます。これらは切削では時間がかかる、または成立しない場面が多く、放電加工の出番になります。

このページでは、電動化部品の金型・試作・少量部品で放電加工がどこに使われるのか、何を図面に書けば見積りが早いのか、試作1個から量産の工程請負までどう移行するのかを、40年以上放電加工を専門にしてきた愛知の工場の立場でまとめました。

目次

電動化で増える「放電加工が必要な形状」

ガソリン車から電動車になると、エンジン・変速機の部品が減る代わりに、モーター・インバータ・バッテリー周りの部品が増えます。放電加工の視点で見ると、増える仕事には共通点があります。

  • 超硬・焼入れ鋼の金型部品:電磁鋼板や銅を大量に打ち抜く金型は、摩耗に耐える超硬合金や高硬度鋼で作られます。硬い材料の輪郭加工はワイヤー放電加工が基本です。
  • 数μmのクリアランス管理:薄い電磁鋼板を打ち抜くパンチとダイのすき間は板厚の数%しかありません。研削で追い込むより、ワイヤー放電で輪郭を一体に切り出す方が合理的です。
  • 銅・アルミの試作:バスバーや冷却部品は導電・熱伝導のために銅やアルミを使います。切削するとバリや変形が出やすい形状も、ワイヤー放電なら力をかけずに切れます。
  • 角のある穴・内歯:減速機のスプライン、キー溝、六角・四角の嵌合穴は、回転工具では角が残らないため、形彫放電またはワイヤー放電で仕上げます。
  • 深いリブ・細い冷却穴:電池ケースやインバータ筐体のダイカスト金型には、深くて細いリブや冷却穴が集中します。工具が届かない部分は形彫放電・細穴放電の担当です。

つまり電動化の部品加工とは、「新しい加工法が必要になる」のではなく、従来から金型分野で使われてきた放電加工の出番が、部品の種類ごとに増えていくことだと言えます。

部品別:放電加工が使われる場所

1. モーターコア(積層コア)の打抜き金型

駆動モーターのステータ・ロータは、厚さ0.2〜0.35mm程度の電磁鋼板を数百枚積層して作ります。1台あたり数百枚、年間数十万台となれば、打抜き金型のパンチとダイは数千万ショットに耐える必要があり、材質は超硬合金か粉末ハイスが主流です。

この金型で放電加工が担うのは次の部分です。

  • パンチ・ダイの輪郭切り出し:スロット形状、ティース先端、カシメ部、シャフト穴などの輪郭をワイヤー放電で切り出します。仕上げカットを複数回重ねることで、輪郭精度は数μmオーダーで管理できます。
  • パンチとダイのクリアランス:板厚0.35mmなら片側0.01〜0.03mm程度のすき間が一般的です。パンチとダイを同じプログラム・同じ機械で加工するとすき間が均一になり、バリ高さと金型寿命が安定します。
  • ストリッパー・ガイドプレートの抜き穴:パンチが通る穴もワイヤー放電で加工し、パンチとの位置関係を一体で管理します。
  • 摩耗したダイの追い込み・再製作:量産中にダイが摩耗した場合、再研磨代がなくなれば同じ図面で再製作します。図面と加工データを保管しておけば、2回目以降は短納期で対応できます。
積層コア打抜き金型の断面(模式図) パンチ(超硬) 電磁鋼板 t0.2〜0.35mm ダイ ダイ クリアランス 片側0.01〜0.03mm パンチ・ダイの輪郭は ワイヤー放電で切り出し (仕上げカットで数μm管理) 同一機・同一データで加工すると すき間が全周で均一になり バリと金型寿命が安定する

図1:積層コアの打抜き金型。パンチとダイのすき間は板厚の数%しかなく、ワイヤー放電の精度がそのまま製品のバリ高さに直結する。

2. ヘアピン巻線の成形・切断金型

高出力モーターでは丸線の代わりに平角線を使う「ヘアピン巻線」が主流になっています。平角線をU字に曲げ、端末を切断・皮むきし、溶接する一連の工程には、成形ダイ、切断刃、位置決め治具といった部品が多数必要です。

  • 平角線の断面寸法に合わせた溝付きの成形ダイは、溝の角が丸くならないよう形彫放電またはワイヤー放電で仕上げます。
  • 銅線を切る切断パンチ・ダイは超硬か焼入れ鋼で、輪郭はワイヤー放電で切り出します。
  • 試作段階では線の断面や曲げ形状が頻繁に変わるため、1個・1セットから短納期で作れることが求められます。

3. バスバー(銅・アルミの導体部品)

バッテリーモジュール、インバータ、モーター端子をつなぐバスバーは、厚さ1〜5mm程度の銅(C1020・C1100)やアルミの板を輪郭抜き・曲げして作ります。量産では打抜き金型を使いますが、試作や少量ではワイヤー放電が向いています。

  • バリが出ない:切削やプレス抜きで出る銅のバリは、絶縁不良や組付け不良の原因になります。ワイヤー放電は切断面が全周均一で、後工程のバリ取りが最小になります。
  • 変形しない:柔らかい銅は切削の力で反りやすい材料です。放電加工は非接触なので、薄い板や細い形状でも平面度を保てます。
  • 重ね切り:同じ形状を数十枚まとめて重ね、1回のワイヤー放電で切り出せます。少量なら金型を作るより早く、安く仕上がります。
  • 量産金型への移行:試作で確定した形状をそのまま打抜き金型のパンチ・ダイに展開できるため、試作から量産への引き継ぎがスムーズです。
銅の放電加工について:銅は電極材料として使われるほど放電加工と相性のよい材料ですが、鋼に比べて加工速度は遅くなります。板厚と枚数から加工時間を見積もりますので、数量と納期をあわせてお知らせください。

4. eAxle・減速機の内歯スプライン・キー溝

モーターと減速機を一体化したeAxleでは、高回転のモーター軸を減速して車輪に伝えます。ここで使われるのがシャフトと内歯スプラインの嵌合、キー溝、六角・四角の嵌合穴です。

  • 内歯スプラインは焼入れ後に歯面の精度が変わるため、焼入れ後にワイヤー放電で仕上げると熱処理変形の影響を受けません。
  • 止まり穴の内歯・角穴は、ワイヤーが通せないため形彫放電で電極を押し込んで作ります。
  • 試作台数が数台のうちは、ブローチやホブを起こすより放電加工で作った方が、費用も納期も抑えられます。

内歯・スプラインの加工方法の詳細は、内歯車・内歯スプラインの放電加工六角穴・四角穴の加工方法で解説しています。

5. インバータ・パワーモジュール関連

パワー半導体を収めるモジュールには、リードフレーム、放熱板(ヒートシンク)、樹脂封止金型など、精密金型と放熱部品が集まります。

  • リードフレームの打抜き金型:ピッチの細かい端子を抜く超硬パンチ・ダイは、ワイヤー放電の代表的な仕事です。
  • ピンフィン型ヒートシンク:銅・アルミに細いピンを並べた放熱板は、ピンの間隔が狭いと切削工具が入らず、形彫放電でまとめて作ることがあります。
  • 樹脂封止金型のキャビティ:深くて角のあるポケット、狭いリブは形彫放電でしか作れないことが多く、鏡面仕上げも放電面からの磨きで対応します。

6. 電池ケース・筐体のダイカスト金型

バッテリーケースやモーターハウジングはアルミダイカストが多く、その金型は大型で、深いリブと冷却穴が集中します。

  • 深いリブ・狭いスリット:深さに対して幅が狭いリブは、エンドミルがたわんで加工できません。銅またはグラファイト電極で形彫放電します。
  • 冷却穴・エア抜き穴:焼入れ後の金型に細くて深い穴をあける細穴放電は、ドリルが折れる場面の代替手段です。詳しくは細穴・小径穴の放電加工をご覧ください。
  • 金型修正・入れ子交換:量産中の金型の設計変更や摩耗部の入れ子交換も、機械上で加工できる大きさなら対応できます。

当社の形彫放電加工機は加工槽1,200×800mm、ワーク高さ1,000mm程度まで、深さ350mmの加工実績があります。大型金型については大型・厚物・深物の放電加工で詳しく説明しています。

材質別:電動化部品でよく扱う材料と放電加工の相性

材料主な用途放電加工の使い方注意点
超硬合金コア打抜き金型、リードフレーム金型、切断刃ワイヤー放電で輪郭切り出し。形彫で角ポケット加工面の微小クラックを抑えるため、仕上げ条件を分ける
粉末ハイス・SKD11(焼入れ)パンチ・ダイ、成形ダイ、治具焼入れ後にワイヤー・形彫で仕上げ残留応力で切り出し中に動くため、荒→仕上げの順序を設計する
純銅(C1020・C1100)バスバー、端子、電極ワイヤーで重ね切り、形彫で溝鋼より加工速度が遅い。板厚と枚数で時間を見積もる
アルミ合金バスバー、筐体、放熱板ワイヤー放電で輪郭、細穴放電で穴加工面に酸化皮膜が残るため、導通面は後処理を確認
電磁鋼板ステータ・ロータ試作数十枚を重ねてワイヤーで輪郭切り出し金型なしで試作コアを作れる。量産は打抜き金型へ移行
ダイカスト金型鋼(SKD61など)電池ケース・ハウジング金型形彫でリブ・深溝、細穴で冷却穴大型ワークは機械の槽サイズと吊り上げ重量を先に確認

電磁鋼板の重ね切りは「金型を作る前に試作コアを回してみたい」という場面で特に役立ちます。数十枚を積層して一度に切り出し、カシメや接着で組んで評価すれば、金型投資の前にスロット形状を検証できます。

試作1個から量産の工程請負へ:進め方

電動化部品は、試作の回数が多く、量産立ち上げ後も設計変更が続くのが特徴です。放電加工を外注する場合、次の段階を踏むと無駄がありません。

試作から量産の工程請負までの流れ ① 試作 1〜数個 図面・現物・3Dデータ ② 評価・設計変更 形状確定まで反復 ③ 量産金型・治具 パンチ・ダイ・入れ子 ④ 工程請負 継続・保守・再製作 同じ加工データ・同じ検査基準を①から④まで引き継ぐ 試作で確定した形状をそのまま金型に展開できるため、量産立ち上げのやり直しが減る 摩耗・設計変更のたびに図面から作り直さず、保管データで短納期に再製作

図2:試作から工程請負までを同じ外注先で進めると、加工データと検査基準が引き継がれ、立ち上げ後の再製作が早くなる。

  1. 試作(1〜数個):図面・現物・3Dデータのいずれかから加工します。図面がなくても現物採寸や簡易スケッチで進められます。
  2. 評価と設計変更:試作結果を受けて形状が変わるのは前提です。変更点だけ伝えていただければ、加工データを修正して再製作します。
  3. 量産金型・治具の製作:形状が確定したら、打抜き金型のパンチ・ダイ、成形ダイ、位置決め治具に展開します。
  4. 工程請負:量産中の金型保守、摩耗部品の再製作、設計変更対応を継続して引き受けます。図面・加工データ・検査記録を保管し、2回目以降は問い合わせから加工開始までを短縮します。

当社は形彫放電加工機7台とワイヤー放電加工機1台を、土日祝も含めて稼働させています。試作の特急対応(2〜5日)と、量産金型部品の継続供給(通常1週間前後)を同じ現場で回せるのが、専門工場として一貫して受ける利点です。量産・工程請負の受け入れ体制は量産・工程請負のご案内、検査体制は品質保証・検査体制をご覧ください。

外注先が廃業・満杯で困っている場合

電動化部品の立ち上げ時期に、これまで頼んでいた放電加工の外注先が廃業した、または量産で手一杯になって試作を受けてもらえない、という相談が増えています。

  • 既存の図面・加工データがあれば、そのまま引き継いで同じ仕様で製作します。
  • データがなく現物しかない場合は、現物を採寸して図面化し、次回以降の再製作に備えます。
  • 主力の外注先を残したまま、当社をセカンドソースとして登録しておく使い方も可能です。

詳しくは放電加工のセカンドソース確保をご覧ください。

見積り依頼を早くする:図面に書いておくと良いこと

電動化部品の金型・試作の見積りでは、次の情報がそろっていると、当日中の回答につながります。

  • 材質と硬さ:超硬の種類(例:V30相当)、鋼材の焼入れ硬さ(HRC)、銅・アルミの合金番号。
  • 板厚と数量:バスバーや電磁鋼板は、1枚の厚さ・枚数・重ね切りの可否で加工時間が大きく変わります。
  • 公差と基準:パンチ・ダイのクリアランスは片側か両側か、基準はパンチ側かダイ側か。
  • コーナーR:ワイヤー放電の内角にはワイヤー径分のRが残ります。R0.1以下を要求する角は、形彫か追加工の要否を確認します。
  • 面粗さ:摺動面・刃先・見えがかりで要求が異なります。数値(Ra)か、用途(刃先・嵌合面など)を記載してください。
  • 納期と用途:試作評価の締切、量産立ち上げ日、設計変更の可能性。急ぎの場合は特急枠で調整します。
  • 今後の数量:試作だけか、量産金型・工程請負まで見据えるかで、加工データの作り方を変えます。
図面がない場合:現物、写真、手描きスケッチからでも見積りは可能です。「まず相談したい」段階でも、部品の役割(何を抜く金型か、何をつなぐバスバーか)を教えていただければ、必要な情報をこちらから確認します。

よくある失敗と、放電加工で回避できること

切削で作ったバスバーのバリで絶縁不良

銅のバリはつぶれて残りやすく、組付け後に短絡の原因になります。ワイヤー放電なら切断面が均一で、バリ取り工程を最小にできます。

焼入れ前に仕上げた内歯が変形

熱処理で歯面がゆがみ、嵌合しなくなる失敗です。焼入れ後にワイヤー放電で仕上げれば変形の影響を受けません。

パンチとダイを別工場で作りクリアランス不均一

すき間が片寄るとバリと欠けが出ます。パンチとダイを同一工場・同一データで加工し、すき間を全周均一にします。

試作用の金型を先に作って設計変更で無駄に

電磁鋼板を重ね切りすれば、金型なしで試作コアを評価できます。形状確定後に金型へ投資する順序にできます。

深いリブをエンドミルで削って折損・面荒れ

深さに対して幅が狭いリブは工具がたわみます。電極を作って形彫放電すれば、深くても均一な面が出ます。

外注先が量産で満杯になり試作が止まる

試作と量産を同じ現場で回す工場、または試作専用のセカンドソースを持つことで、立ち上げ時期の停滞を防げます。

形彫とワイヤー、どちらで作るかの判断

同じ「放電加工」でも、形彫放電(電極を押し込む)とワイヤー放電(細い線で切り抜く)では得意な形状が異なります。電動化部品でよく迷う形状を整理しました。

形状向いている方法理由
パンチ・ダイの輪郭(貫通)ワイヤー放電上下に貫通した輪郭は、線を通して切り抜くのが最も速く、精度も安定する
止まり穴の内歯・角穴形彫放電線が通せないため、歯形・角形の電極を作って押し込む
深いリブ・狭いスリット(止まり)形彫放電底のあるポケットは電極でしか作れない。深さがあっても均一な面が出る
バスバー・電磁鋼板の輪郭ワイヤー放電薄板を重ねて一度に切れる。非接触で変形しない
細い冷却穴(φ0.3〜3mm、深い)細穴放電ドリルでは折れる細さと深さでも、パイプ電極でまっすぐあけられる
鏡面が必要なキャビティ形彫放電+磨き仕上げ条件で面粗さを落とし、放電面から磨きに入る
内角R0.05以下の角形彫放電ワイヤーはワイヤー径分のRが残る。鋭い角は電極で仕上げる

実際には、ワイヤーで荒取りしてから形彫で角を仕上げる、形彫で底を作ってからワイヤーで輪郭を通す、といった組み合わせも多く使います。図面を見て最適な工程を提案しますので、加工方法を指定せずに「この形状をこの精度で」とご依頼いただいて構いません。形彫とワイヤーの違いそのものは放電加工サービスの概要で説明しています。

費用と納期の目安、コストを抑える設計

放電加工の費用は「加工時間」でほぼ決まります。加工時間は材料の厚さ、輪郭の長さ、要求精度(仕上げカットの回数)、電極の数で変わります。電動化部品で費用を抑えるには、設計段階で次の点を意識すると効果があります。

  • 公差を必要な部分に絞る:全周に厳しい公差を付けると仕上げカットが全周に必要になります。嵌合部や刃先だけを厳しくし、それ以外は一般公差にすると時間が減ります。
  • 内角のRを許容する:ワイヤー径(φ0.2〜0.25mmが一般的)に応じたR0.1〜0.15程度を許容できれば、形彫での追加工が不要になります。
  • 重ね切りを前提に枚数をまとめる:バスバーや電磁鋼板は、10枚より50枚まとめた方が1枚あたりの単価が下がります。試作でも評価に必要な枚数を一度に出すと有利です。
  • 電極の共通化:形彫放電では、似た形状のポケットを同じ電極で加工できるように寸法を揃えると、電極製作費が減ります。
  • 材料支給の可否:超硬や特殊鋼を指定材で支給いただく場合は、加工代だけの見積りになります。手配込みの場合は材料の納期が加わります。
  • 再製作を見越したデータ保管:初回に加工データと検査記録を整えておけば、2回目以降は段取り時間が短くなり、費用も納期も縮みます。

加工時間に影響する要素

ワイヤー放電では「板厚×輪郭長さ×カット回数」が時間の基本です。同じ輪郭でも、超硬は鋼より遅く、銅はさらに遅くなります。板厚が2倍になると時間はおおむね2倍、仕上げカットを1回追加するごとに荒カットの3〜5割程度の時間が加わります。形彫放電では「除去体積×仕上げ面粗さ×電極本数」が基本で、深いリブほど電極の消耗と加工時間が増えます。見積り時にはこれらを分解して、どこを緩めれば費用が下がるかをお伝えします。

納期は、試作の特急対応で2〜5日、通常は1週間前後が目安です。大型の金型部品や電極製作を伴う形彫加工は、電極の製作期間が加わります。放電加工の費用の考え方は放電加工の見積りについてでも詳しく解説しています。

量産金型部品の寿命管理と再製作

電動化部品の量産が始まると、金型部品には「いつ摩耗して、いつ交換するか」の管理が必要になります。放電加工の外注先として、次の形で量産を支えます。

ショット数と再研磨代で交換時期を決める

超硬パンチ・ダイは、ショット数が増えると刃先が丸まり、バリ高さが上がります。再研磨で刃先を戻せる回数は、ダイの厚さと再研磨代の設計で決まります。再研磨代を使い切った時点で、同じ加工データから再製作します。交換時期の目安を最初に決めておくと、ラインを止めずに次の部品を用意できます。

予備部品を先に作っておく

量産立ち上げ時に、パンチ・ダイの予備を1セット追加で製作しておくと、欠けや突発的な摩耗が起きてもすぐ交換できます。同時に加工すれば段取りが共通になり、単価も下がります。

設計変更への追従

量産中にスロット形状や端子形状が変わった場合、変更部分だけ加工データを修正して再製作します。図面の版数と加工データを紐付けて保管しているので、「どの版で作った部品か」がわかる状態を保ちます。

検査記録の共有

パンチ・ダイの主要寸法は測定記録を添付し、クリアランスが設計どおりかを数値で確認できるようにします。量産側で発生したバリ・欠けの原因を切り分けるときに、金型部品の測定記録が役立ちます。

加工の進め方:想定ケース

実際の案件は守秘のため公開していませんが、電動化部品でよくある依頼の流れを、想定ケースとして示します。

ケースA:試作モーターのステータコア

電磁鋼板t0.35を50枚支給。図面から加工データを作成し、積層して固定したうえでワイヤー放電で輪郭を切り出し。金型なしでスロット形状を評価し、確定後に打抜き金型のパンチ・ダイへ展開。

ケースB:バッテリー用バスバー30種

C1100のt2〜t4を各10枚。展開形状で重ね切りし、バリ取り最小で納品。曲げは客先で実施。設計変更が3回あり、変更のたびに加工データを修正して2〜5日で再製作。

ケースC:eAxle減速機の内歯スプライン

焼入れ済みSCM材のハブに内歯スプラインを追加工。貫通穴のためワイヤー放電で歯形を仕上げ、相手シャフトとの嵌合を確認して納品。試作5個から量産治具の製作へ。

ケースD:電池ケース金型のリブ加工

SKD61の大型入れ子に深さ80mm・幅3mmのリブを形彫放電。グラファイト電極を社内製作し、荒・仕上げ電極を分けて加工。冷却穴は細穴放電で追加。

ケースE:リードフレーム金型の超硬パンチ再製作

既存パンチの摩耗で再研磨代がなくなり、保管データから同一形状を再製作。予備1セットを同時加工し、次回交換分を確保。

ケースF:外注先廃業からの引き継ぎ

廃業した加工先の図面一式を受け取り、ヘアピン成形ダイの現行品を採寸して差異を確認。同一仕様で製作し、以後の量産部品供給を継続。

電動化以外にも広がる同じ技術

ここで説明した加工は、乗用車のEVに限った話ではありません。同じ部品構成は次の分野にも広がっており、いずれも同じ金型部品・試作部品の需要があります。

  • 二輪・小型モビリティのモーター:小径のコアと小型バスバー。数量は多くないが機種が多く、試作の回転が速い。
  • 産業用モーター・サーボモーター:高効率化で薄い電磁鋼板とヘアピン巻線の採用が進み、金型部品の要求精度が上がっている。
  • 定置用蓄電池・充電設備:大電流のバスバーと筐体金型。銅の厚板の輪郭加工が中心。
  • ロボット・搬送機器の駆動ユニット:減速機の内歯・スプライン、小型モーターコア。詳しくはAIロボット・宇宙・発電の部品加工を参照。
  • パワー半導体・電子部品:リードフレーム金型、放熱部品。半導体・電子部品の精密加工で詳しく説明しています。

電動化部品の加工体制を整えることは、そのままこれらの分野への対応力になります。「モーターと電池と電力変換」という共通の部品群を、放電加工の側から支える体制を用意しています。

依頼から納品までの流れ

  1. お問い合わせ:フォーム・メール・電話のいずれかで、図面(PDF・DXF・STEPなど)、現物写真、または部品の役割をお知らせください。営業時間内のご連絡は当日中に返信します。
  2. お見積り:材質・数量・公差・納期を確認し、加工方法(形彫・ワイヤー・細穴)と工程を提案します。不明点はこちらから質問しますので、図面が完全でなくても構いません。
  3. 材料手配・電極製作:支給材の受け入れ、または当社での材料手配を行います。形彫の場合は電極を社内で設計・製作します。
  4. 加工:荒加工から仕上げまで、要求精度に応じた条件で加工します。パンチとダイなど対になる部品は同一段取りで加工し、すき間の均一性を確保します。
  5. 検査・納品:主要寸法を測定し、必要に応じて測定記録を添付して納品します。全国発送に対応し、愛知県内・近隣は直接お届けすることもできます。
  6. データ保管・再製作:加工データと検査記録を保管し、再製作・設計変更の依頼に短納期で応えます。

量産金型部品の継続供給や工程請負をご希望の場合は、最初のお見積り時に「今後の数量と期間」をお知らせいただければ、単価と納期の計画をあわせて提案します。

当社の対応範囲

  • 設備:形彫放電加工機7台、ワイヤー放電加工機1台。加工槽1,200×800mm、ワーク高さ1,000mm程度、深さ350mmの加工実績。
  • 材料:超硬合金、焼入れ鋼、粉末ハイス、純銅、銅合金、アルミ、電磁鋼板、ダイカスト金型鋼など。
  • 数量:試作1個から、量産金型部品の継続供給・工程請負まで。
  • 納期:特急2〜5日、通常1週間前後。土日祝も稼働しています。
  • 実績:創業40年以上、対応実績3,000件超。営業時間内のお問い合わせは当日中に返信します。
  • 電極:銅・グラファイト電極を社内で設計・製作。銀タングステン・銅タングステン電極にも対応。

よくある質問

EVのモーターコア金型のパンチ・ダイだけを単品で依頼できますか?
はい。金型全体ではなく、超硬パンチ・ダイ・ストリッパーなどの部品単位で1個から製作します。摩耗した部品の再製作や、設計変更に伴う一部差し替えも同じように対応します。
バスバーの試作を金型なしで作れますか?
作れます。銅・アルミの板を必要枚数重ねてワイヤー放電で輪郭を切り出します。バリが少なく、板の反りも出ないため、そのまま評価に使えます。曲げが必要な場合は展開形状で切り出し、曲げは別工程で行います。
電磁鋼板の試作コアを放電加工で作ることはできますか?
できます。電磁鋼板を数十枚積層して固定し、ワイヤー放電でステータ・ロータの輪郭を一度に切り出します。打抜き金型を作る前にスロット形状を検証したい場合に使われます。枚数と板厚により加工時間が変わるため、見積り時に数量をお知らせください。
減速機の内歯スプラインは焼入れ後でも加工できますか?
はい。放電加工は材料の硬さに関係なく加工できるため、焼入れ後の仕上げに向いています。貫通穴はワイヤー放電、止まり穴は形彫放電で対応します。熱処理変形の影響を受けずに嵌合精度を出せるのが利点です。
試作から量産の工程請負まで、同じ工場で引き受けてもらえますか?
引き受けます。試作で作成した加工データと検査基準をそのまま量産金型部品に展開し、量産中の再製作や設計変更にも継続して対応します。図面・データ・検査記録は保管し、2回目以降の依頼は短納期で進めます。
図面がなく現物しかない部品でも見積りできますか?
できます。現物を採寸して図面化し、加工します。写真や手描きのスケッチからの相談も受けています。次回以降の再製作に備えて図面データはお渡しできます。

EV・電動化部品の金型・試作は、試作1個から量産まで同じ工場で受けられます

電動化部品のご相談で多いのが、「モーターコア金型のパンチ・ダイやバスバーを試作で数セット作って、量産になったら継続して供給してほしい」という流れです。当社はこの流れを、試作から量産まで同じ設備・同じ加工データで受けています。

STEP 1試作 1〜数個で形状を確定

図面か現物をいただき、まず数個を作って評価していただきます。設計変更があれば変更点だけ反映して再製作します。

STEP 2加工データと検査基準を記録して量産へ

試作で確定した加工条件・電極設計・測定記録をそのまま量産金型部品に展開します。別工場に移すとこの条件出しをやり直すことになります。

STEP 3継続供給・再製作・工程請負

形彫7台+ワイヤー1台の8台体制で、貴社専用の段取りを組みます。土日祝も稼働し、営業時間内は当日中に返信します。

試作の段階で、量産時の単価の目安と供給体制まで一緒にお答えします。「まだ量産になるか分からない」段階でも構いません。

業界・用途別のご案内

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