半導体の製造装置に使われる部品は、一般の機械部品と要求が違います。数量は少なく、精度は厳しく、材質は扱いにくい。そのうえ装置が止まれば損失が大きいため、納期の余裕もありません。この組み合わせは、切削加工にとって最も苦しい条件です。
このページでは、放電加工を40年続けてきた立場から、半導体・電子部品まわりの部品加工で切削が詰まる場面と、形彫放電加工・ワイヤー放電加工がどこで効くのかを整理します。装置部品、治具、金型部品まで、実際にご相談の多い形状を具体的に挙げます。
装置が止まっている案件は、先にお電話ください。
1個から対応します。ステンレス・チタン・インコネル・超硬・焼入れ材、いずれも加工できます。当日中でお見積りを回答します。
半導体まわりの部品が、加工しにくい4つの理由
「単に精度が厳しいだけ」ではありません。4つの条件が同時に来ることが、この分野の部品を難しくしています。
数量が少ない
装置は多品種少量です。1個から数個という依頼が普通で、型を起こす前提の加工は使えません。それでいて精度は落とせないため、外注先が見つかりにくくなります。
材質が扱いにくい
耐食性や耐熱性が求められ、ステンレス・チタン・インコネルなどが選ばれます。いずれも切削では工具が持ちません。摩耗が問題になる箇所では超硬が使われます。
形状が細かい
細いスリット、小径の穴、薄い部品。切削では工具の剛性が足りず、ワークも力に耐えられません。削ろうとすると歪む、という状況が頻繁に起きます。
待てない
装置の停止は損失に直結します。「数週間後」では意味がない案件が多く、1個を短時間で通せる体制が求められます。設備台数の少ない工場では、量産の合間に割り込ませられません。
放電加工が効く理由|力をかけずに、硬さを問わず削る
放電加工は、電極とワークの間に放電を起こし、その熱で金属を溶かす加工です。刃物を押し当てないため力がかからず、熱で溶かすため硬さが障害になりません。前ページで挙げた4つの条件のうち、3つがこれで解けます。
切削はワークを押しながら削ります。放電加工は接触せずに溶かすため、薄物・細物でも変形せず、材料が硬くても不利になりません。
| この分野の条件 | 切削加工での難しさ | 放電加工での扱い |
|---|---|---|
| 1個〜数個 | 特殊形状には専用工具が必要になり、その費用が1個にかかる | 専用の刃物が不要。1個から成立する |
| ステンレス・チタン | 粘りが出て工具が摩耗しやすい。加工硬化も起きる | 粘りも加工硬化も影響しない |
| インコネル | 加工硬化で刃先が急速に摩耗する。切削熱が逃げにくい | 工具摩耗の問題から解放される |
| 超硬・焼入れ材 | 硬度が工具の限界を超え、削れない | 硬さは加工時間をほとんど変えない |
| 薄物・細物 | 切削の力にワークが耐えられず歪む | 力がかからないため変形しない |
| 細いスリット・小径穴 | 工具の剛性が足りず、折れる・逃げる | ワイヤーや細い電極で加工できる |
| 短納期 | — | 形彫7台・ワイヤー保有で割り込みの余地がある |
| 絶縁材(セラミックス等) | 専用工具で対応可能な場合がある | 加工できない(電気を通さないため) |
形彫とワイヤー、この分野での使い分け
依頼のときに工法を指定する必要はありません。ただしどちらで作れる形かを設計側が知っていると、図面の描き方が変わります。目安は「貫通しているか、底があるか」です。
ワイヤー放電加工で請ける形状
- ・薄板からの精密な輪郭抜き。歪ませずに切り出す
- ・幅の狭いスリット。刃物では剛性が足りない箇所
- ・櫛歯状・多数の細い突起がある形状
- ・テーパーの付いた穴、上下で形の違う穴
- ・チタン・インコネル板の外形加工
- ・角を極力小さいRで仕上げたい位置決め穴
形彫放電加工で請ける形状
- ・止まりの角穴・深い座ぐり
- ・逃げ溝を作れないキー溝
- ・ブロックの内側にある袋状の形状
- ・工具が届かない深い溝(深さ350mm程度まで)
- ・超硬部品の嵌合部・当たり面
- ・摩耗した装置部品の寸法再生
両方を同じ工場で通せることに意味があります。板の輪郭はワイヤー、止まりの座は形彫。工程が工場をまたがないため、位置の基準がずれず、輸送の日数も乗りません。当社は形彫放電加工機7台とワイヤー放電加工機を同じ工場に保有しています。違いの詳細は形彫とワイヤーの違いをご覧ください。
相談の多い部品と、その中身
この分野からいただく相談は、大きく3つに分かれます。いずれも「装置を動かし続けるため」の加工という点が共通しています。
1. 装置部品の新規製作・予備品
装置に組み込む部品を1個から製作します。メーカーに頼むと日数がかかる、あるいは廃番になっているという場合でも、図面か現物があれば対応できます。予備品として複数個そろえておきたい、という依頼も承ります。
2. 摩耗した部品の寸法再生
当たり面が減って精度が出なくなった部品を、作り直さずに直せる場合があります。摩耗部を放電加工で削り直し、硬い材料を入れ直すという手が使えます。作り直しの見積もりを取る前にご相談ください。詳しくは金型・部品の補修をご覧ください。
3. 位置決め治具・検査治具
装置には必ず治具が付きます。1個・高精度・特殊形状という条件が重なるため、放電加工の適性が高い領域です。詳しくは治具製作のページをご覧ください。
材質ごとの対応
放電加工の条件はひとつだけ、電気を通す材料であることです。硬さも粘りも関係ありません。この分野でよく使われる材質について、扱いを整理します。
| 材質 | この分野での使われ方 | 放電加工での扱い |
|---|---|---|
| ステンレス (SUS304・SUS316 など) | 耐食性が要る部品全般。最も使用頻度が高い | 対応。切削で問題になる粘りの影響を受けない |
| チタン | 軽量化、耐食性が要る部品 | 対応。工具摩耗の問題がなくなる |
| インコネル ハステロイ等 | 高温・腐食環境にさらされる部品 | 対応。加工硬化が起きない |
| 超硬 | 摩耗が厳しい当たり面、位置決め部 | 対応。切削では現実的に削れない領域 |
| 焼入れ鋼 | 治具の位置決め部、耐摩耗部品 | HRC60以上の実績多数。焼入れ後に加工できる |
| アルミ | 軽量な構造部品、カバー類 | 対応可能。ただし切削のほうが速い場合が多い |
| セラミックス 石英・樹脂 | 絶縁部品、真空部品 | 対応不可(電気を通さないため) |
セラミックスや石英の部品は、当社では加工できません。放電加工は電気を通す材料にしか使えないためです。対応できない場合は、その旨を最初にはっきりお伝えします。お問い合わせいただいてから数日お待たせした末にお断りする、ということはしません。金属部品であればご相談ください。
精度・対応寸法・納期
寸法精度
形彫で±0.01mmクラス、ワイヤーで±0.005mmクラス。焼入れ材でも落ちません。
仕上げ面
Ra0.1μm程度の平滑面から梨地面まで、用途に応じて指定できます。
対応寸法
形彫 最大1200×800×450mm、ワイヤー 最大820×730×300mm。
深穴
深さ350mm程度まで(形状により異なります)。
数量
1個から。最低数量は設けていません。
見積もり
当日中で回答(営業時間内の受付分)。
装置が止まっている案件は、その旨を最初にお伝えください。形彫放電加工機7台とワイヤー放電加工機を保有しているため、急ぎの1個を割り込ませる余地があります。間に合わない場合も、待たせずにその旨をお答えします。特急対応の詳細は短納期対応のページをご覧ください。
どんな金属部品が該当するか
半導体・電子部品まわりには、装置本体だけでなく治具・金型・消耗部品まで幅広い金属部品があります。このうち放電加工が適するのは、硬い・薄い・細かい・少量、のいずれかに当てはまるものです。用途ごとに整理します。
| 用途 | 放電加工が適する金属部品の例 | よく使われる材質 | 向いている方式 |
|---|---|---|---|
| 装置の内部部品 | 取付ブラケット、シールド、位置決めブロック、リング状の部品 | ステンレス、チタン、アルミ | ワイヤー中心 |
| 搬送・位置決め | ハンドの受け部、位置決めピン穴、ストッパー、当たり面 | 焼入れ鋼、超硬 | 形彫+ワイヤー |
| 治具・ゲージ | 位置決め治具、検査ゲージ、洗浄ラックの金属部 | SKD11、SUS、超硬 | 形彫+ワイヤー |
| 金型部品 | リードフレーム金型のパンチ・ダイ、成形金型の入れ子 | 超硬、焼入れ鋼 | ワイヤー中心 |
| 消耗・交換部品 | 摩耗する当たり面、押さえ、ガイド類 | 焼入れ鋼、超硬 | 形彫中心 |
| 試作・評価用 | 形状を試すための部品、寸法違いの比較品 | 問わない | ワイヤー中心 |
部品全体を当社で作る必要はありません。外形は既存の取引先で切削し、角穴だけ・スリットだけ・焼入れ後の仕上げだけを当社で行う。この形が最も費用も納期も抑えられます。「この1箇所だけ」というご依頼を歓迎しています。
この分野の依頼で、事前に決めておくと早いこと
やり取りの往復を減らすと、そのまま納期が縮みます。とくに次の3点は、後から確認すると日数を失いやすい項目です。
1. 角のRをどこまで許容できるか
放電加工では原理上、角に微小なRが残ります。ワイヤーならかなり小さくできますが、ゼロにはなりません。R0のまま図面が回ってくると、確認の往復で数日を失います。許容値を先に決めておいてください。
2. 表面の状態に指定があるか
放電加工した面には、加工の性質上わずかな変質層が残ります。それを許容できるか、除去が必要かで工程が変わります。真空環境や洗浄工程で使う部品では、この指定が効いてきます。
3. 精度が本当に要る箇所はどこか
図面の全面に厳しい公差が入っていると、必要のない部分にまで加工時間がかかります。機能する面だけを厳しくするだけで、費用も納期も変わります。
問い合わせのとき、これだけ書けば話が早い
分かる範囲で構いません。下をそのままコピーして送っていただければ、こちらで判断できます。とくに材質は、対応可否が最初に決まる項目なので必ずお知らせください。
コピーして使えるテンプレート
- ・材質:(例:SUS316、チタン、インコネル、超硬、SKD11/絶縁材の有無)
- ・用途:装置部品/治具・ゲージ/金型部品/交換部品/試作
- ・数量: 個(追加予定:あり/なし/未定)
- ・外形寸法:約 × × mm/板厚 mm
- ・加工したい形状:輪郭抜き/スリット/角穴/キー溝/深穴/その他
- ・焼入れ:済み(HRC )/これから/なし
- ・とくに精度が要る箇所:( )/公差( )
- ・角のRの許容:できる/できるだけ小さく/要相談
- ・表面の指定:指定あり( )/とくになし
- ・材料:支給する/手配してほしい
- ・秘密保持契約:必要/不要
- ・希望納期: 月 日まで/装置停止中のため至急
JUDGE
その部品、放電加工で通るか
条件はひとつ、電気を通す材料であることだけです。そのうえで、放電加工に出す価値があるかどうかを確認してください。
放電加工に出す価値がある
- ・ステンレス・チタン・インコネルで工具が持たない
- ・超硬・焼入れ材で切削では削れない
- ・薄物・細物で削ると歪む
- ・細いスリット、角を残したい穴
- ・止まり形状・深い溝で工具が届かない
- ・1個〜数個で、専用工具を作る価値がない
他の工法を検討したほうがよい
- ・セラミックス・石英・樹脂など絶縁材
- ・アルミの単純形状(切削のほうが速い)
- ・大量に削り落とす粗加工が主体
- ・完全なピン角(R0)が絶対条件
- ・薄板を速く切るだけでよい
- ・1200×800×450mmを超える大きさ
図面を1枚送っていただければ、可否をその場でお答えします。
加工できるか・いくらか・何日かかるかをお伝えします。対応できない材質・寸法の場合は、待たせずにその旨をお伝えします。秘密保持が必要な図面についても、事前にお申し付けください。
1個から対応
最低数量なし
当日中で見積
営業時間内の受付分
難削材に対応
チタン・インコネル・超硬
全国から受付
宅配便で対応
土日祝も稼働/愛知県尾張旭市。同業種の実績としては防衛・航空宇宙部品もご覧ください。
よくある質問
Q. セラミックスや石英の部品は加工できますか。
A. できません。放電加工は電気を通す材料にしか使えないためです。この分野では絶縁材の部品も多いため、最初に材質をお知らせいただけると判断が早くなります。金属部品であれば、ステンレス・チタン・インコネル・超硬・焼入れ材まで対応します。
Q. 装置が止まっています。どれくらいで対応できますか。
A. 形状と材質によりますが、まず当日中でお見積りと日数をお答えします。当社は形彫放電加工機7台とワイヤー放電加工機を保有しており、急ぎの単品を割り込ませる余地があります。間に合わない場合も、待たせずにその旨をお伝えします。お急ぎであればお電話が確実です。
Q. 図面の秘密保持は対応してもらえますか。
A. 対応します。秘密保持契約が必要な場合は、お問い合わせの際にお申し付けください。手続きの進め方をご案内します。
Q. 1個だけの依頼でも受けてもらえますか。
A. 受けています。最低数量は設けていません。放電加工は専用の刃物を作らずに済むため、1個でも構造的に成立します。詳しくは小ロット・1個からの加工をご覧ください。
Q. 摩耗した部品を直せますか。作り直すしかないでしょうか。
A. 直せる場合があります。摩耗した面を放電加工で削り直し、寸法を再生する方法が使えます。ただし削る方向にしか直せないため、寸法が小さくなりすぎている場合は救えません。現物を見て判断しますので、作り直しを決める前にご相談ください。
Q. 形彫とワイヤー、どちらで頼めばよいですか。
A. 指定は不要です。図面を見て当社が判断します。目安としては貫通しているならワイヤー、底があるなら形彫です。1つの部品で両方を使うこともあります。
まとめ
- 1この分野の部品は少量・難削材・細かい形状・短納期が同時に来る
- 2放電加工は力をかけず、硬さを問わないため、このうち3つが解ける
- 3使い分けは貫通ならワイヤー、底があるなら形彫
- 4条件は電気を通す材料であることのみ。絶縁材は対応できない
- 5摩耗した部品は作り直さずに直せる場合がある
当社は愛知県尾張旭市で放電加工を40年、累計3,000件以上の実績があります。1個から、難削材でも、装置が止まっている急ぎの案件でもお受けします。対応できない材質・寸法の場合は、待たせずにその旨をお伝えします。まずは図面か現物の写真をお送りください。
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- ・インコネル・チタンの放電加工|難削材への対応
- ・治具製作を放電加工で|位置決め・検査治具
- ・精密部品を1個から|小ロットの費用の抑え方
- ・防衛・航空宇宙部品の放電加工|同じく難削材・少量の分野
- ・保有設備一覧|対応できるワークサイズと材質
その加工、放電で受けられるかどうかを先にお答えします。図面か現物のスマホ写真1枚をお送りいただければ、受けられるか・いくらか・いつ出せるかを営業時間内は当日中にお返しします。1個から量産まで、出せない公差は受注前にはっきりお伝えします。土日祝も稼働しています。

