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精密部品を1個から|小ロット・試作を放電加工で受ける理由と費用の抑え方

「1個だけなので断られた」「小ロットだと単価が跳ね上がると言われた」——精密部品の外注先を探していると、必ずぶつかる壁です。これは工場が意地悪をしているのではなく、加工方式の構造から来ています。型を起こす加工、専用工具を作る加工では、1個でも100個でも準備の手間が変わらないためです。

放電加工は、この構造が違います。形彫放電加工もワイヤー放電加工も、専用の刃物を作る必要がありません。そのため1個からでも成立します。このページでは、なぜ放電加工が少量に向くのか、形彫とワイヤーで小ロットの扱いがどう違うのか、そして1個の見積もりを安くするために発注側でできることまでを整理します。

1個からお受けします。数量を理由にお断りしません。

試作1個、予備部品1個、廃番品の再製作1個。焼入れ後でも、超硬でも、図面がなくても対応できます。当日中でお見積りを回答します。

目次

なぜ小ロットは断られるのか。理由は「準備」にある

加工の費用は、大きく準備(段取り)と、実際に削る時間に分かれます。数量が増えれば準備の費用は分散しますが、1個ならすべてを1個で負担することになります。問題は、加工方式によって準備の重さがまるで違うことです。

1個あたりの費用に占める「準備」の重さ プレス・成形 型を起こす費用がすべて1個にかかる 重い 専用工具を要する切削 工具製作・プログラム 中くらい ワイヤー放電加工 段取りのみ 軽い 形彫放電加工 電極製作+段取り やや軽い

1個の見積もりが跳ね上がるかどうかは、その加工方式が何を準備しなければならないかで決まります。

型を起こす加工は1個に向かない

プレス、鍛造、樹脂成形は、まず型を作らなければ1個も作れません。型の費用は数量で割るしかないため、1個では現実的な金額になりません。小ロットで断られる典型がこれです。

切削は形状しだいで重くなる

汎用工具で届く形なら1個でも問題ありません。しかし特殊な形状に専用工具が必要になると、その製作費が1個にのしかかります。「この形だと単価が上がる」と言われる理由です。

放電加工は専用の刃物が要らない

ワイヤー放電加工は細い線1本で、どんな輪郭でも切れます。形状が変わっても道具は同じです。形彫放電加工は電極が必要ですが、電極は銅やグラファイトの塊から削り出すため、工具鋼の専用刃物を作るのとは負担が違います

形彫とワイヤー、小ロットでの違い

同じ放電加工でも、1個を作るときの身軽さは違います。数量が1〜数個なら、ワイヤーで作れる形にできないかを先に考えるのが定石です。

項目ワイヤー放電加工形彫放電加工
準備するものプログラムと段取りのみ。専用の道具は不要形状に合わせた電極を1つ作る
1個での身軽さ最も軽い電極製作のぶん、ワイヤーより重い
2個目以降同じプログラムで繰り返せる電極を再利用できるため、2個目から大きく下がる
向いている形貫通した輪郭、板もの、外形抜き止まり穴、深い溝、袋状の形
形状変更への強さプログラムを直すだけで対応できる電極を作り直す必要がある
試作との相性寸法違いの試作を並べて作りやすい形が固まってからのほうが有利

試作なら、まずワイヤーで作れないかを検討してください。形状を変えて何度も試すフェーズでは、電極を作り直さずに済むワイヤー放電加工が圧倒的に身軽です。量産の形が固まってから形彫に移すという進め方もできます。どちらが適するかは図面を拝見して判断しますので、指定は不要です。

1個作るとき、工法をどう選ぶか

少量では、選べる工法がいくつかあります。それぞれ得意な領域が違うため、部品の性格で決まります。放電加工が最適とは限りません。先に全体像を持っておくと、外注先探しが速くなります。

工法1個での強み弱点向いている部品
切削
(マシニング・旋盤)
汎用工具で届く形なら最も速い硬い材料が削れない。工具が届かない形が作れない生材の一般部品、丸物、外形加工
ワイヤー放電加工専用工具が不要。形状が特殊でも不利にならない貫通形状のみ。削り落とす量が多いと時間がかかる板もの、輪郭抜き、焼入れ材、超硬
形彫放電加工止まり形状に対応。硬さの制約がない電極の製作が要る止まり穴、深い溝、キー溝、金型部品
レーザー切断薄板を速く切れる板厚が増すと精度と切り口が落ちる。熱の影響が出る薄板の外形
金属3Dプリンタ中空など、削っては作れない形が作れるそのままでは寸法精度と面が不足しがち複雑な内部形状、軽量化部品
プレス・成形数が増えるほど安くなる型が必要。1個では成立しない量産部品

組み合わせるのが現実的です。外形は切削、角穴と焼入れ後の仕上げは放電加工。3Dプリンタで作った部品の嵌合部だけを放電加工で仕上げるという依頼も増えています。詳しくは金属3Dプリンタ部品の仕上げをご覧ください。

形彫で1個作るときの「電極」の話

形彫放電加工では、加工したい形の電極を作ってから加工します。この電極が、少量での費用を左右します。ただし電極は銅やグラファイトから削り出すもので、工具鋼の専用刃物を作るのとは負担がまったく違います。

1個目は電極代がのる

形状が複雑なほど電極の製作にも時間がかかります。単純な角穴なら電極も単純で、負担は小さくなります。

2個目からは大きく下がる

同じ形をもう一度作るなら、電極を再利用できます。追加の予定があるなら、最初に伝えておくほど有利になります。

形が変わると作り直しになる

寸法を変えて試すフェーズでは不利です。形状が動く段階ではワイヤーで作れないかを先に検討してください。

1個の依頼で多いのは、この5つ

少量の依頼は「試作」だけではありません。実際に届く相談は、次の5つに大きく分かれます。どれも「今すぐ1個だけ必要」で、待てないという点が共通しています。

1. 試作・評価用の1個

形状を確かめるための1個。寸法違いを2〜3種類まとめて作りたいという依頼も多くあります。ワイヤー放電加工なら、寸法違いをプログラムの変更だけで作り分けられます。

2. 設備が止まっている予備部品

機械が停止し、部品が今すぐ要る。メーカーに頼むと数週間かかる。現物があれば、それを測って同じものを作れます。急ぎの度合いをお伝えください。

3. 廃番・図面のない部品の再製作

古い設備の部品が手に入らなくなった。図面も残っていない。現物から寸法を起こして製作できます。摩耗した部品でも、元の形が推定できれば対応可能です。

4. 治具・ゲージなど、そもそも1個のもの

位置決め治具や検査ゲージは、量産される性質のものではありません。1個であることが前提の部品です。詳しくは治具製作のページをご覧ください。

5. 量産前の「作れるか」の確認

量産を前提にしつつ、まず1個で成立するかを見たい。放電加工で1個作ってから、量産の工法を決めるという進め方は現実的です。量産段階でのご相談も承ります。

1個の見積もりを抑えるために、発注側でできること

少量では、指示の書き方が費用に直接効きます。加工時間で費用が決まる以上、時間を増やす指示を外せば安くなります。実際に効果の大きい順に挙げます。

1. 精度が要る場所だけを指定する

最も効きます。図面の全面に厳しい公差が入っていると、必要のない部分にまで時間をかけることになります。実際に機能する面だけを厳しくし、他は普通公差にしてください。これだけで加工時間が変わります。

2. 面粗さの指定を1段緩める

放電加工では、仕上げを細かくするほど加工回数が増えます。見た目のために細かい面粗さを指定していないかを確認してください。機能に関係しないなら、1段緩めるだけで時間が縮みます。

3. 角のRを許容する

完全なピン角(R0)は放電加工では出せません。「Rいくつまでなら許容できるか」を先に決めておくと、工法の選択肢が広がります。R0のまま出すと、確認のやり取りで納期も延びます。

4. 2個目以降の予定があるなら伝える

形彫放電加工では電極を再利用できるため、あとで追加が来ると分かっていれば見積もりの組み立てが変わります。「今回は1個だが、来月もう1個要るかもしれない」という情報は必ずお伝えください。

5. 全部ではなく、難しい部分だけ出す

丸穴やタップまで含めて外注する必要はありません。社内でできる加工は社内で行い、放電加工でしかできない部分だけを出す。これが最も費用を抑える形です。当社は工程の一部だけのご依頼も歓迎しています。

逆に、費用を下げようとして避けたほうがよいこと。材質を柔らかいものに変える、という判断です。放電加工では材料が硬くても加工時間はほとんど変わりません。切削の常識で材質を落とすと、部品の寿命だけが短くなります。硬さを理由に妥協する必要はありません。

納期の考え方

少量の依頼では、価格と同じくらい納期が重要です。当社は形彫放電加工機7台とワイヤー放電加工機を保有しており、急ぎの1個を割り込ませる余地があります。設備が1台しかない工場では、量産が流れている間は単品を入れられません。台数があること自体が、小ロットへの対応力になります。

見積もり

当日中で回答します(営業時間内の受付分)。

設備台数

形彫7台・ワイヤー保有。割り込みの余地があります。

受付範囲

全国から宅配便で。愛知県尾張旭市への持ち込みも可能です。

急ぎの相談

ラインが止まっている場合は、その旨を最初にお伝えください。

具体的な日数は、形状・材質・深さで変わります。「いつまでに要るか」を先に言っていただければ、間に合うかどうかを最初にお答えします。間に合わない場合も、その旨をはっきりお伝えします。特急対応の詳細は短納期対応のページをご覧ください。

「断られた」と言われたときの、断り方の読み方

外注先から返ってくる言葉には型があります。同じ「できません」でも、理由によっては別の工場なら通ります。言われた内容から、放電加工で解決するかどうかを見分けてください。

言われた内容実際に起きていること放電加工での見通し
「専用工具が必要になります」その形状に合う刃物が市販になく、作る費用が1個にかかる解決しやすい。ワイヤーは線1本でどんな輪郭も切れる
「焼入れ後は削れません」硬度が工具の限界を超えている解決する。硬さは加工時間をほとんど変えない
「角にRが付きます」エンドミルの半径より小さい角は作れない改善する。ただしR0にはできない点は同じ
「工具が届きません」深さに対して工具が細く、逃げてしまう/首が当たる解決しやすい。深さ350mm程度まで対応
「薄くて歪みます」切削の力にワークが耐えられない解決する。放電加工は力がかからない
「最低ロットが○個からです」その工場の受注方針。型や段取りの都合当社は最低数量を設けていない
「材料が手に入りません」特殊材の入手性の問題加工方式では解決しない。支給いただければ加工可能
「電気を通さない材料です」樹脂・セラミックスなど放電加工では対応できない

断られた図面は、そのまま送っていただいて構いません。手を加える必要はありません。むしろどこで断られたか、何と言われたかを添えていただけると判断が早くなります。当社でも対応できない場合は、その旨をはっきりお伝えします。

材質別・少量で頼むときの注意点

放電加工では硬さが障害になりませんが、材質によって気をつける点は変わります。1個の依頼で失敗しないために、材質ごとの勘所を整理します。

材質少量で頼むときの利点注意したい点1個での適性
焼入れ鋼
(SKD11など)
焼入れ後に最終寸法を出せるため、変形を見越す工程が不要焼入れの外注に日数がかかることがある非常に高い
超硬切削では現実的に削れないため、放電加工が事実上の選択肢になる材料自体が高価。歩留まりを考えた材寸の相談を非常に高い
ステンレス切削では粘って加工しにくい材料も、放電なら影響を受けない板厚が厚いと加工時間が伸びる高い
インコネル
チタン
加工硬化や工具摩耗の問題から解放される材料の入手に日数がかかる場合がある高い
アルミ
一般鋼(生材)
切削のほうが速く安いことが多い形状しだい
樹脂
セラミックス
電気を通さない対応不可

問い合わせのとき、これだけ書けば話が早い

分かる範囲で構いません。空欄があっても差し支えありません。下をそのままコピーして送っていただければ、こちらで判断できます。

コピーして使えるテンプレート

  • 数量:  個(今後の追加予定:あり/なし/未定)
  • 用途:試作/予備部品/廃番品の再製作/治具・ゲージ/その他
  • 材質:(例:SKD11、SUS304、超硬、不明 など)
  • 焼入れ:済み(HRC  )/これから/なし/不明
  • 外形寸法:約  ×  ×  mm
  • 加工したい形状:(例:角穴、輪郭抜き、キー溝、深穴 など)
  • とくに精度が要る箇所:(  )/公差(  )
  • 角のRの許容:できる/できるだけ小さく/要相談
  • 材料:支給する/手配してほしい
  • 他社で断られた場合、その理由:(  )
  • 希望納期:  月  日まで/できるだけ早く
  • 添付:図面(なければ現物写真・手描きのポンチ絵でも可)

JUDGE

その1個、放電加工で成立するか

少量だからといって、何でも放電加工が正解ではありません。切削のほうが速くて安い形状も多くあります。どちら側かをここで確認してください。

放電加工なら1個で成立する

  • 焼入れ材・超硬など、切削では削れない材料
  • 角穴・キー溝など角を残したい形状
  • 工具が届かない深い溝・止まり穴
  • 専用工具が必要と言われて断られた形状
  • 薄板・細長い形で切削だと歪む
  • 現物はあるが図面がない

他の加工のほうが向く

  • 生材で、丸穴とタップだけで作れる
  • 角にRが残っても支障がない
  • 電気を通さない材料(樹脂・セラミックス・木材)
  • 大量に削り落とす必要がある粗形状
  • 単純な板の切断だけで済む
  • 数千個の量産が前提で、型を起こす価値がある

1個でも、まず見積もりを出させてください。

図面か現物の写真があれば、加工できるか・いくらか・何日かかるかをお答えします。当社より切削のほうが安く済む場合は、その旨をはっきりお伝えします。数量が少ないことを理由にお断りすることはありません。

1個から対応

最低数量なし

当日中で見積

営業時間内の受付分

図面なしでも可

現物から製作します

営業電話なし

問い合わせ後も

土日祝も稼働/愛知県尾張旭市。全国から宅配便でお受けしています。

よくある質問

Q. 本当に1個だけでも受けてもらえますか。

A. 受けています。最低数量は設けていません。放電加工は専用の刃物を作らずに済むため、1個でも構造的に成立します。試作、予備部品、廃番品の再製作など、1個の依頼は日常的にお受けしています。

Q. 1個だと単価はかなり高くなりますか。

A. 段取りの費用を1個で負担するため、量産時の単価よりは上がります。ただし型を起こす加工に比べれば、その差ははるかに小さくなります。また、精度指定や面粗さ指定を見直すだけで下げられる余地が残っていることも多くあります。まず見積もりをご依頼ください。

Q. 図面がありません。現物だけで作れますか。

A. 作れます。現物から寸法を起こして製作します。摩耗している部品でも、元の形が推定できれば対応可能です。詳しくは図面がない部品の製作をご覧ください。

Q. まず1個作って、良ければ量産をお願いできますか。

A. 可能です。1個で形を確かめてから数を増やす進め方は自然な流れです。形彫放電加工では電極を再利用できるため、2個目以降は費用が下がります。量産の体制についてはワイヤー放電加工の量産もご覧ください。

Q. 他社で「その形状は専用工具が必要」と断られました。

A. そうした案件こそ放電加工の出番です。ワイヤー放電加工は細い線1本でどんな輪郭も切れるため、形状が特殊であることが不利になりません。断られた図面をそのままお送りください。

Q. 材料は用意する必要がありますか。

A. どちらでも構いません。支給いただいてもよいですし、当社で手配することもできます。1個の場合は、材料の入手に日数がかかることがあるため、お急ぎであれば支給いただくほうが早く仕上がる場合があります。

まとめ

  • 1小ロットが断られるのは準備(型・専用工具)の費用を1個で負担するから
  • 2放電加工は専用の刃物が要らないため、1個でも構造的に成立する
  • 31〜数個ならワイヤーが最も身軽。形彫は2個目から有利になる
  • 4費用を下げる最短路は精度と面粗さを必要な場所だけに絞ること
  • 5硬い材料を避ける必要はない。放電加工では硬さが加工時間をほとんど変えない

当社は愛知県尾張旭市で放電加工を40年、累計3,000件以上の実績があります。形彫放電加工機7台とワイヤー放電加工機を保有し、急ぎの1個を割り込ませる余地を常に確保しています。「1個だけなのですが」という前置きは不要です。そのままご相談ください。

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その加工、放電で受けられるかどうかを先にお答えします。図面か現物のスマホ写真1枚をお送りいただければ、受けられるか・いくらか・いつ出せるかを営業時間内は当日中にお返しします。1個から量産まで、出せない公差は受注前にはっきりお伝えします。土日祝も稼働しています。

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