【図面なしでもOK】難加工・特急のご相談、最短即日お見積り対応中無料見積りはこちら

細穴・小径穴の放電加工|ドリルが折れる細くて深い穴をあける方法

φ1mmの穴を深さ30mm開けたいが、ドリルが折れて進まない」「焼入れした部品に細い穴を追加したい」——細い穴の加工は、径が小さくなるほど、そして深くなるほど、切削では急激に難しくなります。

この記事では、細穴・小径穴がどこから難しくなるのかを径と深さの関係で整理し、放電加工でどこまで対応できるのか、依頼するときに何を伝えればよいのかを、実際に細穴加工を行っている放電加工の専門工場が解説します。

目次

細穴加工が難しくなる境界線は「径」ではなく「径と深さの比」

細穴加工の相談を受けるとき、最初に確認するのは穴の直径ではありません。直径に対して、どれだけ深いかです。この比率を L/D比(Length/Diameter=深さ÷直径)と呼びます。

たとえば同じ φ1mm の穴でも、深さ3mm(L/D=3)なら市販のドリルで問題なく開きます。しかし深さ30mm(L/D=30)になると、切削では現実的に困難な領域に入ります。穴の絶対的な大きさではなく、この比率が加工の難易度を決めます

同じ直径でも「深さとの比率」で難易度が変わる L/D = 3 ドリルで開く 深さ 3mm φ1mm 切りくずが逃げる 工具のたわみも小さい L/D = 10 条件が厳しい 深さ 10mm φ1mm 切りくずが詰まり始める ステップ送りで時間がかかる L/D = 30 切削では困難 深さ 30mm φ1mm 工具が折れる・曲がる 放電加工は工具を当てないため、L/D比が大きくなっても折れる・曲がるという問題が起きません 電極を送り込みながら放電で溶かすため、深くなっても加工の原理そのものは変わりません。
穴の直径が同じでも、深さとの比率(L/D比)が大きくなるほど切削は難しくなる。放電加工は工具を接触させないため、この比率による破綻が起きにくい。

ドリルによる細穴加工が破綻する4つの理由

1. 切りくずが穴の外へ出られなくなる

細い穴ほど、切りくずが通る隙間も狭くなります。深くなると切りくずが穴の中に詰まり、詰まった切りくずが工具を締め付けて折損させます。これを避けるためにドリルを何度も引き抜きながら少しずつ進める「ステップ加工」を行いますが、加工時間は大幅に伸びます。

2. 工具そのものが細く、力に耐えられない

工具の曲げに対する強さは、直径が小さくなると急激に落ちます。直径が半分になると、曲げに対する強さはおよそ16分の1にまで低下します。φ1mm以下のドリルが少しの横方向の力で折れてしまうのは、この性質によるものです。

3. 穴が曲がる

細く長い工具はたわみます。入口では狙った位置でも、深くなるほど穴の中心がずれていきます。反対側まで貫通させる部品や、複数の穴の位置関係が重要な部品では、この曲がりが不良の原因になります。

4. 硬い材料では、そもそも工具が負ける

焼入れした鋼(HRC55〜62程度)や超硬合金では、細いドリルの刃先が保ちません。熱処理を終えた後で穴を追加したいという要望は、切削では対応できないことがほとんどです。

折れたドリルが穴の中に残ってしまったら

細穴加工でもっとも困るのが、工具が穴の中で折れて取り出せなくなるケースです。無理に叩き出そうとすると母材まで傷めます。この場合も放電加工であれば、折れ込んだ工具だけを溶かして除去し、母材を残せます。詳しくは折れたタップ・ドリルの除去方法をご覧ください。

放電加工が細穴に向いている理由

工具を当てないので、折れることも曲がることもない

放電加工は、電極とワークの間に発生させた放電の熱で材料を溶かして取り除きます。電極はワークに接触しません。したがって、切削のように工具が折れる・たわむという現象が原理的に起きません。細くて深い穴ほど、この差が効いてきます。

硬さが加工の可否に影響しない

放電加工で加工できるかどうかを決めるのは硬さではなく、電気を通す材料であるかどうかです。焼入れ鋼でも、超硬合金でも、インコネルやチタンのような難削材でも、導電性があれば同じように加工できます。硬さの目安についてはタングステンと超硬の硬さデータで詳しく整理しています。

加工液を電極の中から噴き出して、切りくずを押し出す

細穴放電加工では、中心に穴の空いたパイプ状の電極を使い、その内側から加工液を高い圧力で噴き出しながら加工します。溶けた材料は加工液の流れに乗って穴の外へ運び出されるため、深くなっても屑が詰まりません。ドリルで問題になる「切りくずが逃げられない」という制約を、構造的に回避しています。

工法別・細穴加工の向き不向き

工法得意な領域焼入れ材深い穴注意点
ドリル(切削) L/D 5程度まで 不可 苦手 浅い穴なら圧倒的に速く安い
ガンドリル φ2mm以上の深穴 条件次第 得意 ごく細い径には適用しにくい
レーザー 薄板の微細穴 苦手 厚みが増すと穴がテーパになる
細穴放電加工 細くて深い穴 得意 導電性の材料であることが条件
ワイヤー放電加工 穴でなく輪郭の切り抜き 糸を通すため、先にスタート穴が必要
工法は排他ではありません

実際の部品では、浅い穴はドリル、細くて深い穴だけ放電加工という分担がもっとも合理的です。すべてを放電加工で行う必要はありません。図面をお送りいただければ、どの穴をどの工法で処理するのが安く早いかを含めてご提案します。

当社で対応している細穴加工の範囲

当社では、φ1mm前後を中心とした細穴加工に対応しています。用途によってはさらに小さい径のご相談も承っており、超硬合金に対して φ0.5mm 程度の微細穴を加工した実績があります。深さ方向については、長さ900mmのシャフトに深さ350mmの穴を加工した実績があります。

ただし、加工できる限界は「径」「深さ」「材質」「必要な精度」の組み合わせで変わります。同じφ1mmでも、貫通か止まりか、位置精度がどこまで要るか、入口・出口の状態にどこまで要求があるかによって、可否も費用も変わります。数値だけで判断せず、実際の図面や現物でご相談いただくのが確実です。

ワイヤー放電のスタート穴

ワイヤー放電加工は糸を通す必要があるため、閉じた形状を抜くには先に貫通穴が必要です。焼入れ後の材料でもスタート穴を開けられるのが放電加工の強みです。

冷却孔・温調穴

金型やタービン部品では、内部に細く深い冷却の通り道が必要になります。切削では届かない位置にも加工できます。

噴射孔・オリフィス

流体を噴き出す小さな穴は、径のばらつきが性能に直結します。電極の径がそのまま転写されるため、同じ穴を数多く揃えやすい加工です。

油穴・エア抜き穴

組み上がった後や熱処理後に「ここに穴が要る」と分かった部品にも、硬さに関係なく後から追加できます。

細穴放電加工は、どうやって穴をあけているのか

「工具を当てずに穴があく」と言われても、実際の様子は想像しにくいものです。ここでは仕組みを具体的に説明します。原理が分かると、なぜ硬さが関係ないのか、なぜ深くても詰まらないのかが納得できるはずです。

パイプ状の電極を回しながら、少しずつ送り込む

細穴放電加工では、中心に細い穴の空いた金属のパイプを電極として使います。多くの場合、銅や黄銅といった加工しやすい金属です。この電極を回転させながら、ワークに向かってゆっくり降ろしていきます。

電極とワークは接触しません。わずかな隙間を保ったまま、その隙間で放電を起こします。放電の瞬間、局所的には数千度に達し、ワークの表面がごく微量ずつ溶けて飛び散ります。これを毎秒何千回と繰り返すことで、電極の形どおりに穴が掘り進んでいきます。

電極の内側から加工液を噴き出して、溶けた屑を押し流す

電極が中空になっているのには理由があります。その内側から加工液を高い圧力で噴き出し、溶けた材料を穴の外へ押し流すためです。加工液は屑を運び出すと同時に、放電を安定させ、熱を奪う役割も担っています。

ドリルの場合、切りくずは工具の溝を通って外へ出るしかありません。深くなるほど溝は詰まり、やがて工具が折れます。細穴放電加工は穴の一番奥から液を噴き出して外へ押し出すという逆の流れをつくるため、深くなっても屑の排出が破綻しにくいのです。

切りくずの逃げ道が、そもそも逆向き ドリル:屑は溝を通って上へ逃げるしかない 被削材 ドリル 狭い溝を 逆流させる 奥で詰まる 細穴放電:液を奥へ送り、屑を外へ押し出す 被加工材 パイプ電極 加工液 屑は隙間から 外へ流れ出る
ドリルは切りくずを穴の入口方向へ逆流させるしかないのに対し、細穴放電加工は電極の内側から加工液を送り込み、溶けた屑を外へ押し出す。深い穴でも排出が破綻しにくいのはこの構造による。

電極も少しずつ減っていく

放電はワークだけでなく電極も消耗させます。細穴放電加工では、電極を送り込みながら、消耗した分も見込んで加工します。長い穴を加工する場合、電極は穴の深さ以上に必要になります。

この消耗は、穴の精度にも関わります。電極の先端が減れば穴の形も変わるため、高い精度が求められる場合は電極を交換しながら仕上げるといった段取りをとります。「同じ穴を何十個も同じ精度で」という要求がある場合は、事前にお伝えいただけると段取りの計画に反映できます。

材質ごとの勘所

放電加工は硬さの影響を受けませんが、材質によって加工しやすさや注意点は変わります。よくご依頼いただく材質について、細穴加工の観点から整理します。

材質細穴加工の可否加工の特徴と注意点
炭素鋼・合金鋼
(焼入れ前後とも)
問題なく可能 もっとも実績の多い材質です。焼入れ後でも加工性は変わりません。熱処理後に穴を追加したいご依頼が多く見られます。
ステンレス鋼
(SUS304・SUS630など)
問題なく可能 切削では粘って加工硬化しやすい材料ですが、放電加工では粘りが問題になりません。切削で細穴に苦労した材料ほど差が出ます。
インコネル・チタン
(耐熱・難削材)
可能 切削では工具寿命が極端に短くなる材料です。放電加工では硬さも粘りも制約になりません。冷却孔などの用途で使われます。
超硬合金 可能 切削工具では歯が立たない領域ですが、放電加工なら加工できます。脆い材料のため、無理な条件を避けて欠けを防ぎます。
銅・アルミ・黄銅 可能だが要相談 柔らかく熱を逃がしやすいため、条件の作り方が鋼とは異なります。切削で開くならそちらが速い場合もあります。
セラミックス・樹脂
ガラス
加工できません 電気を通さないため、放電加工の原理が成立しません。別工法をご案内します。
判断に迷ったら、材質名だけでもお知らせください

「この材質は放電加工できるのか」というご質問だけでも構いません。材質が分かれば、加工できるか、別の工法が良いかをその場で判断してご回答できます。加工できない場合は、無理に受けず適した工法をご案内します。

よくいただく3つの追加要望

傾斜した面や曲面に穴をあけたい

ドリルは、傾いた面に当てると刃先が滑って狙った位置に食い込みません。センタ穴を先に加工するなどの手間が必要になり、細い径ほど難しくなります。

放電加工では電極が材料を押さないため、斜面や曲面でも位置がずれにくいという利点があります。ただし面の傾きが大きいと加工液の流れ方が変わるため、傾斜角度が分かる図面か現物があると確実です。

同じ穴を多数、同じ精度であけたい

噴射孔や冷却孔のように、1つの部品に同じ穴が何十個も並ぶケースがあります。この場合に重要なのは1穴の精度よりも「全部の穴が揃っているか」です。

電極の消耗を見込んだ段取りと、穴ごとの条件管理が必要になります。穴数・許容できるばらつき・検査方法をあらかじめ共有いただけると、段取りの設計に反映できます。数が多い案件ほど、この事前のすり合わせが仕上がりと納期を左右します。

ワイヤー放電加工のスタート穴として使いたい

ワイヤー放電加工は、ワイヤーを部品に通してから輪郭を切り抜く加工です。そのため閉じた形状(内側だけをくり抜く形状)を加工するには、先にワイヤーを通すための貫通穴が必要になります。これがスタート穴です。

問題になるのは、材料がすでに焼入れされている場合です。硬くてドリルが立たないため、スタート穴だけが加工できずに工程が止まります。細穴放電加工なら硬さに関係なく穴があけられるため、この工程の詰まりを解消できます。当社は形彫・ワイヤー・細穴を自社内で行っているため、スタート穴から輪郭の切り抜きまで一貫して対応できます。

現場でつまずきやすいケースと、その対処

「浅い試作では通ったのに、本番の厚みで折れた」

L/D比が変わったことが原因です。試作品の板厚では成立していた工具が、製品の厚みでは成立しません。厚みが決まった段階で工法を見直す必要があります。

「出口の位置が図面からずれていた」

細く長い工具のたわみによる曲がりです。出口の位置に公差がある部品では、入口だけでなく出口の要求も加工先に伝えることが重要です。

「熱処理後に穴の追加が決まり、作り直しになった」

切削前提で工程を組むと、熱処理後の追加加工ができません。放電加工を選択肢に入れておけば、作り直さずに追加できたケースです。

「穴はあいたが、バリで組み付かなかった」

出口バリの扱いを決めていなかったケースです。後工程が必要かどうかは、発注前に決めておくと手戻りがありません。

どの段階で相談すると、いちばん損がないか

細穴加工のご相談で多いのは、「切削で試して失敗した後」です。もちろんその段階でもお受けしますが、工具代と時間、場合によっては材料そのものが失われた後になります。

もっとも損が少ないのは、設計の段階で「この穴は開けられるか」を確認していただくことです。図面の段階であれば、「この径と深さなら切削で十分」「この比率なら放電加工に回したほうが確実」といった判断をお伝えできます。穴の位置や深さをわずかに変えるだけで、加工が格段に楽になることも珍しくありません。

当社は形彫放電加工を40年以上、累計3,000件を超える案件に対応してきました。加工できるかどうかの判断だけのご相談でも構いません。図面をお送りいただければ当日中に回答します。

細穴加工の「精度」は、4つに分けて考える

「精度はどのくらい出ますか」というご質問をよくいただきます。ただ、細穴の精度はひとつの数値では表せません。次の4つは別々の要素で、どれを重視するかによって段取りも費用も変わります。図面に書かれていない要求があると後から食い違うため、依頼時に整理しておくことをおすすめします。

穴径の精度(穴そのものの太さ)
電極の径と放電の隙間で決まります。電極が消耗すると径も変わるため、厳しい要求がある場合は電極を交換しながら仕上げます。「入ればよい」のか「はめあいで使う」のかで進め方が変わります。
位置精度(穴が図面のどこにあるか)
部品を機械に固定するときの基準の取り方で決まります。複数の穴の相互位置が重要な場合は、一度の段取りでまとめて加工するのが確実です。段取りを分けると誤差が積み上がります。
真直度(穴がまっすぐ通っているか)
深い穴ほど効いてきます。貫通穴で反対側の出口位置に公差がある場合は、必ず事前にお伝えください。入口だけを見て発注すると、出口で合わないことがあります。
面粗さ(穴の内面の状態)
加工条件で変わります。速く加工するほど面は粗くなり、丁寧に仕上げるほど滑らかになりますが時間がかかります。流体が通る穴か、単なる逃げ穴かで必要な水準は大きく違います。
「全部を最高精度で」は費用の無駄になります

4つすべてを厳しく指定すると、費用も納期も跳ね上がります。実際に必要なのはそのうち1つか2つだけということがほとんどです。「この穴は位置だけ重要で、面粗さは問わない」というように用途を教えていただければ、必要な部分だけに手をかけた見積りをお出しできます。

細穴放電加工が使われている場面

金型・成形の分野

射出成形や鋳造の金型では、製品の温度を管理するための細い通り道や、空気を逃がすための穴が必要になります。金型は焼入れされていることが多く、後から穴を追加するには硬さに左右されない工法が要ります。金型の補修や寸法再生については金型の補修・寸法再生で詳しく解説しています。

自動車・輸送機器の分野

燃料や潤滑油の通り道、噴射する部品の小さな穴など、流量が性能に直結する部品で使われます。この種の部品は「穴が1つでも大きすぎる/小さすぎる」と機能に影響するため、同じ穴を安定して揃えることが求められます。

航空宇宙・エネルギーの分野

タービンの翼に設けられる冷却孔や、噴射器の微細孔が代表例です。インコネルなどの耐熱合金は切削工具の寿命が極端に短く、細くて深い穴を多数あける工程では放電加工が現実的な選択肢になります。この分野の加工についてはインコネル・チタンの放電加工もご覧ください。

治具・検査具、単品の設備部品

量産部品だけでなく、社内で使う治具や、設備の交換部品を1個だけ作りたいという場面でも使われます。「昔からある部品だが図面がなく、現物しかない」といったご相談もお受けしています。

依頼するときに伝えていただきたい7項目

細穴加工の見積りは、穴の径と深さだけでは確定できません。次の7つが分かると、初回のご連絡で可否と概算費用までお答えできます。

穴の直径と深さ
この2つでL/D比が決まり、難易度の大枠が判断できます。図面がある場合はそのままお送りください。
貫通か、止まり穴か
止まり穴の場合は、底の形状(平らにしたいか、電極なりでよいか)も分かると確実です。
材質と熱処理の有無
導電性があるかどうかが最初の判断基準です。焼入れ済みかどうかで工法の選択肢が変わります。
穴の数と、位置の精度
「1個に何穴あるか」「穴どうしの位置がどこまで厳しいか」で段取りと時間が変わります。
穴の入口・出口に要求があるか
バリや角のだれを嫌う場合は、先にお知らせください。後工程の要否が変わります。
部品全体の大きさと重さ
穴そのものは小さくても、部品が大きければ機械に載るかどうかの確認が必要です。
数量と希望納期
1個の試作か、継続的な数物かで進め方が変わります。急ぎの場合はその旨をお伝えください。

細い穴が開けられずに止まっている部品はありませんか

「ドリルが折れて進まない」「焼入れ後に穴が必要になった」「他社で断られた」——こうしたご相談を日常的にお受けしています。図面がなくても、現物の写真やスケッチからご相談いただけます。

図面1枚で無料見積もり

見積もりは無料です。しつこい営業電話はいたしません。土日祝も稼働しており、お急ぎの案件にも対応しています。

細穴加工で、あとから問題になりやすい5つのこと

穴の曲がり(真直度)

放電加工は工具のたわみによる曲がりが起きにくい工法ですが、深くなるほど電極自体の振れや加工液の流れの影響を受けます。反対側の出口位置に厳しい要求がある場合は、その旨を事前にお伝えください。加工条件や電極の選び方で対応します。

入口と出口のわずかなテーパ

放電加工では、加工が進む間も入口付近は放電にさらされ続けます。そのため入口がごくわずかに広がる傾向があります。通常の用途では問題になりませんが、全長にわたって径を厳密に揃えたい場合は、仕上げ工程の追加をご相談ください。

加工面の変質層

放電の熱により、加工面にはごく薄い変質層(白層)が生じます。疲労強度や耐食性が重要な部品では、この層の扱いを設計段階で決めておく必要があります。仕上げ条件の調整で薄くできるほか、必要に応じて後工程での除去も検討します。

出口側のバリ

貫通穴では出口側にバリが残ることがあります。組み付けや流体の流れに影響する場合は、バリ取りの要否を先に決めておくと手戻りがありません。

加工時間と費用の関係

放電加工は、切削のように「刃物が当たった分だけ削れる」加工ではありません。取り除く体積と加工条件で時間が決まります。細くて深い穴は1穴あたりの時間が長くなるため、穴数が多い部品では総加工時間が費用に直結します。穴数が多い場合は、その情報が早いほど正確な見積りが出せます。

費用と納期の考え方

細穴加工の費用は、①段取り(部品を機械に固定し、位置を出す作業)②1穴あたりの加工時間 × 穴数という構造になります。1個だけの試作では段取りの比重が大きく、数が増えるほど1個あたりの単価は下がっていきます。

納期は、当社の場合、通常のご依頼で1週間前後、お急ぎの場合は2〜5日での対応実績があります。土日祝も稼働しているため、週末をまたぐ案件でも止まりません。図面をお送りいただければ、当日中に加工の可否と概算をご回答します。費用の考え方全般については放電加工の費用相場もあわせてご覧ください。

よくあるご質問

細穴放電加工では、どのくらい細い穴まで開けられますか?

当社ではφ1mm前後を中心に対応しており、用途によってはより小さい径もご相談いただけます。超硬合金に対してφ0.5mm程度の微細穴を加工した実績があります。

ただし、加工できる限界は径だけでは決まりません。深さ・材質・要求精度の組み合わせで変わります。「φ0.5mmを深さ2mm」と「φ0.5mmを深さ20mm」では難易度がまったく異なります。図面か現物でご相談いただければ、可否を判断してご回答します。

焼入れした後の部品に、細い穴を追加できますか?

できます。放電加工は硬さの影響を受けないため、焼入れ済みの部品にも穴を追加できます。切削ではドリルの刃先が保たない領域です。

「熱処理を終えてから穴が必要だと分かった」「設計変更で穴を1つ足すことになった」といったご相談は多く、作り直すより費用も期間も抑えられるケースがほとんどです。

ドリルが穴の中で折れてしまいました。取り出せますか?

多くの場合、取り出せます。放電加工では折れ込んだドリルだけを溶かして除去し、母材を傷めずに残すことができます。無理に叩き出したり、溶接で掴もうとしたりすると母材まで傷めてしまうため、その前にご相談ください。

詳しい手順と対応例は折れたタップ・ドリルの除去方法で解説しています。

穴が深くなると曲がりませんか?

切削のように工具がたわんで曲がるという現象は起きません。電極がワークに接触しないためです。ただし深くなるほど電極の振れや加工液の流れの影響を受けるため、出口の位置に厳しい要求がある場合は事前にお知らせください。

当社では長さ900mmのシャフトに深さ350mmの穴を加工した実績があります。深さ方向のご相談は深穴加工の限界と突破法もあわせてご覧ください。

セラミックスや樹脂にも細穴を開けられますか?

放電加工では加工できません。放電加工は電気を流して材料を溶かす加工のため、電気を通さない材料(セラミックス・樹脂・ガラスなど)は原理的に対象外です。

これらの材料については、レーザーや超音波加工など別の工法が適しています。材質が分かればどの工法が向いているかをご案内できますので、お問い合わせの際に材質をお知らせください。

1個だけの試作でも依頼できますか?

1個からお受けしています。試作の1個でも、継続的な数物でも対応可能です。他社で「細すぎる」「深すぎる」と断られた案件のご相談も歓迎します。

お見積りは無料で、図面がなくても現物の写真やスケッチからご相談いただけます。まずはお問い合わせフォームからご連絡ください。

あわせてご覧いただきたい情報

「うちの部品でもできる?」と思ったら、そのまま聞いてください

写真1枚・3項目・30秒。営業時間内(平日8:00〜17:00)なら当日中に技術者が回答します。見積り・相談は無料、しつこい営業は一切しません。

担当技術者加工歴40年の技術者が直接内容を確認し、加工可否と概算の目安をお答えします。


    お急ぎの方は電話が最速です → 0561-55-7560

    この記事が気に入ったら
    フォローしてね!

    よかったらシェアしてね!
    • URLをコピーしました!
    • URLをコピーしました!
    目次