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プレス金型のパンチ・ダイ製作|超硬・焼入れ材を放電加工で1本から

パンチが欠けたが、同じものを作ってくれる先が見つからない」「ダイが摩耗してバリが出るようになった」「超硬のパンチを1本だけ作りたい」——プレス金型のパンチ・ダイは、材料が硬く、形状も精度も要求が厳しいため、対応できる加工先が限られます。

この記事では、パンチ・ダイがなぜ放電加工の領域なのか、ワイヤー放電と形彫放電をどう使い分けるのか、ダイの逃がし(2番)をどう作るのか、そして摩耗した型を作り直すべきか再生できるのかの判断基準までを、実際にこの種の加工を受けている放電加工の専門工場が整理します。

目次

パンチとダイは「隙間」で性能が決まる

プレスの抜き加工は、パンチとダイの間に材料を挟み、せん断して分離する加工です。このときパンチとダイの間にある隙間を「クリアランス」と呼びます。片側の隙間で表すのが一般的です。

この隙間が適正なら、パンチ側とダイ側から入った亀裂がきれいにつながり、切り口が揃います。隙間が狭すぎても広すぎても、切り口は荒れ、バリが出て、型の寿命も縮みます。パンチ・ダイの製作でもっとも神経を使うのが、この寸法です。

クリアランスと切り口の関係 適正なクリアランス パンチ 材料 ダイ ダイ 亀裂がきれいにつながる バリが少なく寿命も安定 狭すぎる パンチ 二段のせん断面が出る 荷重が上がり刃先が早く傷む 広すぎる パンチ 材料が引きちぎられる だれとバリが大きくなる クリアランスは「パンチ寸法」と「ダイ寸法」の差で作り込みます どちらの寸法を基準にするかは、抜いた材料を製品にするか、穴を製品にするかで変わります。
クリアランスが適正なら上下の亀裂がつながって切り口が揃う。狭すぎると二段のせん断面が出て刃先が傷み、広すぎると材料が引きちぎられてバリが大きくなる。
どちらの寸法を基準にするかで、作り方が変わります

抜いた側を製品にする(抜き加工)なら、製品寸法はダイで決まるのでダイを基準にし、パンチをクリアランス分だけ小さく作ります。穴のほうを製品にする(穴あけ)なら、穴寸法はパンチで決まるのでパンチを基準にし、ダイを大きく作ります。ご依頼のときはどちらが製品なのかをお知らせください。これが分かると寸法の解釈で行き違いが起きません。

なぜパンチ・ダイは放電加工の領域なのか

材料が硬い

パンチ・ダイには、摩耗に耐えるため焼入れした工具鋼や超硬合金が使われます。焼入れ鋼はHRC58〜62程度、超硬合金に至ってはHV1,300〜2,000(HRA88〜93)に達します。切削工具では歯が立たない領域です。硬さの詳細はタングステン・超硬の硬度と加工方法で整理しています。

放電加工は放電の熱で材料を溶かして除去するため、硬さは加工の可否に影響しません。条件は電気を通す材料であることだけです。

形状が「角のある閉じた形」になりがち

抜き形状は、丸穴だけでなく角穴・長穴・異形が当たり前です。内側の角を持つ閉じた形状は、回転工具では原理的に作れません(工具の半径分の丸みが必ず残るため)。ワイヤー放電加工なら、細いワイヤーで輪郭をなぞるので、角の丸みをワイヤー半径まで小さくできます。

熱処理の「後」に仕上げられる

焼入れすると必ず変形します。切削で仕上げてから焼入れすると、その変形が製品精度にそのまま出ます。放電加工は焼入れ後に加工できるため、熱処理変形を取り込んだうえで最終寸法に仕上げられます。これがパンチ・ダイで放電加工が選ばれる最大の理由です。

ワイヤー放電と形彫放電の使い分け

加工対象適した工法理由
パンチの外形 ワイヤー放電 外周をなぞるだけなので、閉じた形でもスタート穴が要りません。角の丸みも小さくできます。
ダイの抜き穴(貫通) ワイヤー放電 貫通しているのでワイヤーを通せます。逃がし(2番)のテーパも同時に作れます。
ダイの止まり形状・座ぐり 形彫放電 貫通していない形はワイヤーが通せません。電極を彫り込む形彫放電の領域です。
パンチプレートの取付穴 工法を選ぶ 丸穴なら切削が速く安価です。位置精度が厳しい場合や焼入れ後ならワイヤー放電。
欠けたパンチの除去 形彫放電 プレートに食い込んで抜けない場合、折れ込んだ部分だけを溶かして除去できます。
刃先の再研磨 研削の領域 平面を削り直す作業なので研削盤が適します。放電加工の出番ではありません。
ワイヤー放電加工にスタート穴が要る場合・要らない場合

パンチの外形のように外側からワイヤーを入れられる形なら、スタート穴は不要です。一方、ダイの抜き穴のように板の内側だけをくり抜く形では、先にワイヤーを通す穴が必要になります。焼入れ済みでドリルが立たない場合は、細穴放電加工でスタート穴をあけます。詳しくは細穴・小径穴の放電加工をご覧ください。

ダイの「2番(逃がし)」をどう作るか

ダイの穴は、上から下まで同じ寸法のストレートではありません。刃として効くのは入口側のごく一部だけで、その下は抜いたスクラップが詰まらないように広げてあります。この広げた部分を「2番」または「逃がし」と呼びます。

ダイ穴の断面 —— 刃になるのは入口だけ 抜き寸法(ここが製品寸法) ストレート部 2番(逃がし) ダイ ダイ スクラップが落ちる ストレート部が短いほど再研磨できる回数は減り、長いほどスクラップが詰まりやすくなります。
ダイ穴のうち実際に刃として働くのは入口側のストレート部だけ。その下は逃がしとして広げ、抜いたスクラップが詰まらないようにする。

ストレート部の長さは「再研磨の回数」を決める

ダイの刃先が摩耗したら、上面を研磨して新しい刃を出します。このとき削れるのはストレート部が残っている範囲までです。ストレート部を長くとれば再研磨の回数は増えますが、その分スクラップが詰まりやすくなります。

つまりこの寸法は、「型の寿命」と「詰まりにくさ」のどちらを優先するかの設計判断です。図面に指示があればそのとおりに作りますし、指示がなければ用途を伺って提案します。

図面に逃がしの指示がないケースが多くあります

現物合わせで作られてきた型では、逃がしの寸法が図面に残っていないことがよくあります。この状態で「同じものを」と言われても、そのまま写すと詰まりやすい型になることがあります。現物をお預かりできれば実測して復元しますし、判断が必要な部分は着手前にご相談します。図面がない場合の進め方は図面がない部品の製作で詳しく解説しています。

クリアランスの考え方

クリアランスは材料の板厚と材質で決まります。一般的には板厚に対する比率で表し、軟らかい材料ほど小さく、硬い材料ほど大きくとります。おおよその傾向は次のとおりです。

材料クリアランスの傾向備考
アルミ・銅などの軟質材 小さめ 粘りがあるため、広いとだれとバリが大きくなります。
軟鋼・冷間圧延鋼板 標準 もっとも実績の多い領域。設計資料の標準値が使えます。
ステンレス鋼 やや大きめ 加工硬化しやすく荷重が高いため、狭いと刃先が傷みます。
高張力鋼・硬質材 大きめ 荷重を逃がす必要があります。型材の選定も併せて検討します。
精密打抜き・切り口重視 特別に管理 破断面を減らしたい用途では、通常より狭くとる設計が使われます。工法自体の検討が要ります。
具体的な数値は、図面か現物で決めます

クリアランスの標準値は各社の設計基準や材料メーカーの資料で示されていますが、同じ板厚・同じ材質でも、要求する切り口の品質や型の寿命方針で採用値は変わります。当社は指示された寸法どおりに加工しますので、クリアランスを含んだパンチ・ダイそれぞれの寸法、または製品寸法とクリアランスの指定のどちらかをお知らせください。判断に迷う場合はご相談いただければ、一般的な考え方をお伝えします。

パンチ・ダイに使われる材料と加工の可否

材料硬さの目安放電加工特徴
SKD11 などの合金工具鋼 HRC58〜62 問題なく可能 もっとも一般的。焼入れ後の加工依頼が多い材料です。
SKH51 などの高速度工具鋼 HRC60〜64 問題なく可能 粘りがあり欠けにくい。細いパンチによく使われます。
粉末ハイス HRC60〜65 問題なく可能 耐摩耗性と靭性のバランスがよく、量産型で選ばれます。
超硬合金 HRA88〜93 可能 耐摩耗性は最高。切削では加工できず、放電加工が前提になります。脆いため無理な条件を避けます。
セラミックス 加工できません 電気を通さないため放電加工の対象外です。別工法をご案内します。

なおHRCは HV940(HRC68)付近が測定上限のため、超硬合金の硬さはHRCでは表せません。図面に「HRC68を超える硬さ」を求める指示がある場合は検査が成立しないため、HRAまたはHVでの指定をお願いしています。

パンチ1本、ダイ1枚からお受けします

「欠けたパンチと同じものが欲しい」「超硬で作り直したい」「他社に断られた」——こうしたご相談を日常的にお受けしています。図面がなくても、現物や写真からご相談いただけます。

図面・現物写真で無料見積もり

見積もりは無料です。しつこい営業電話はいたしません。土日祝も稼働しており、ラインが止まっている案件にも対応しています。

摩耗した・欠けたパンチとダイをどうするか

まず「なぜそうなったか」を見ます

同じ壊れ方を繰り返しているなら、作り直しても同じことが起きます。破損したパンチは捨てずに残しておいてください。破断面から、荷重過多なのか、芯ずれなのか、材質の選定が合っていないのかを推定できることがあります。

再研磨で戻るか、作り直しか

刃先が丸まっただけ → 再研磨

ストレート部が残っていれば、上面を研磨して刃を出し直せます。もっとも安く早い選択肢です。ただし研磨した分だけ型の高さが変わるので、シムなどで調整が必要になります。

ストレート部を使い切った → 作り直し

これ以上研磨できない状態です。ダイを新規に製作します。同時にクリアランスや逃がしの見直しをすると、次の型の寿命が延びることがあります。

パンチが欠けた・折れた → 作り直し

欠けた刃先は戻せません。ただし1本だけの製作が可能なので、型全体を作り直す必要はありません。現物があれば図面がなくても製作できます。

プレートに折れ込んだ → 除去して再利用

パンチがプレートに食い込んで抜けない場合、放電加工で折れ込んだ部分だけを溶かして除去できます。プレートは傷めずに残せるため、作り直すより大幅に安く済みます。

抜けなくなったパンチの除去は、無理に叩く前にご相談ください

ハンマーで叩き出そうとすると、プレート側の穴を広げてしまい、結局プレートごと作り直しになることがあります。折れ込んだ工具を母材を傷めずに取り除く加工は放電加工の得意分野です。詳しくは折れたタップ・ドリルの除去方法をご覧ください。

パンチの形状別・製作の勘所

ひとくちにパンチと言っても、形状によって注意すべき点が変わります。見積り前に形状の特徴を伝えていただけると、判断が早くなります

丸パンチ

もっとも単純で、標準品が手に入る場合もあります。標準品で足りるならそちらのほうが安く早いので、無理に製作をおすすめしません。特殊な径、特殊な材質、段付きなど標準品にない仕様のときにご相談ください。

角・長穴パンチ

角の丸みが問題になる代表格です。ワイヤー放電加工ではワイヤー半径分のRが必ず角に残ります。製品側で角の丸みに規格がある場合は、その許容値を先にお知らせください。

細いパンチ(座屈しやすいもの)

直径に対して長さがあるパンチは、抜くときの荷重で曲がったり折れたりします。材質の選定(粘りのある高速度工具鋼にするなど)や、ガイドの持たせ方が寿命を左右します。「細いパンチがすぐ折れる」という状態が続いているなら、寸法どおり作り直す前に一度ご相談ください。同じ設計で作り直しても同じ結果になります。

異形・複合形状のパンチ

凹凸の多い形状はワイヤーが動く距離が長くなるため、加工時間がそのまま費用に反映されます。ただし形状が複雑になっても加工の可否は変わりません。「切削では作れない形だから」という理由で断られた形状こそ、放電加工の出番です。

段付き・逃がし付きのパンチ

刃先だけが製品寸法で、途中から逃がしてあるパンチです。ワイヤー放電で段を作る場合、段の位置と寸法を図面で明確に指示していただく必要があります。現物からの再製作では、この段の情報が図面に残っていないことが多いため、実測して復元します。

順送金型・多工程型の部品を外注するとき

順送金型のように工程数の多い型では、部品点数が多く、1点でも欠けるとラインが止まります。この種の型を扱う現場からいただくご相談には、いくつか共通したパターンがあります。

「1工程分だけ」の外注

型全体を外注する必要はありません。摩耗した特定のステーションのパンチ・ダイだけを製作するご依頼が多くあります。型全体の図面が無くても、その部品の図面か現物があれば対応できます。

予備品をまとめて持っておく

消耗の早い部位が分かっているなら、予備を先に作っておくのが結果的に安く済みます。1本ずつ都度発注するより段取りが1回で済むため、単価も下がります。止まってから慌てて手配するより、稼働が読める時期にまとめて作るほうが納期の余裕もあります。

社内の設備が空かないときの工程外注

「ワイヤー放電の機械はあるが、量産で埋まっていて型部品に回せない」という状況もよくご相談いただきます。放電工程だけを外に出すことで社内設備を空け、量産を止めずに型のメンテナンスを回せます。詳しくは放電加工の工程外注をご覧ください。

1社依存になっていませんか

型部品を1社にしか頼めない状態は、その1社が止まったときにこちらの生産も止まることを意味します。平時のうちに、同じものを作れる先を確保しておくのがリスク対策になります。図面か現物があれば引き継げますので、まずは試作的に1点だけ出してみるという進め方でも構いません。

型の寿命を延ばすために、発注側でできること

型の寿命は加工精度だけで決まるものではありません。発注時の情報の出し方によって、次の型が長持ちするかどうかが変わります

壊れた現物を残しておく

破断面から原因を推定できることがあります。荷重過多なのか、芯ずれなのか、材質が合っていないのか。捨ててしまうとこの手がかりが失われます。

何ショットで交換しているかを伝える

交換周期が分かると、それが妥当なのか短すぎるのか判断できます。短すぎるなら材質や設計の見直しを提案できます。

どこがどう摩耗するかを伝える

刃先が丸まるのか、側面が減るのか、特定の角だけ欠けるのか。摩耗の出方で対策が変わります。

被加工材が変わったら知らせる

材質や板厚が変わればクリアランスの適正値も変わります。以前と同じ型を使い続けると、寿命が急に短くなることがあります。

「同じものを」より「今困っていること」を伝えてください

再製作のご依頼では「前と同じものを」と言われることが多いのですが、前の型に不満があったなら、それを解決する余地があります。摩耗が早い、バリが出る、スクラップが詰まる——こうした症状を伝えていただければ、材質の変更や逃がしの見直しといった提案ができます。

当社は形彫放電加工を40年以上、累計3,000件を超える案件に対応してきました。加工できるかどうかの判断だけのご相談でも構いません。図面や現物の写真をお送りいただければ、当日中にご回答します。

依頼するときに伝えていただきたい8項目

パンチ・ダイの見積りは、形状と材質だけでは確定しません。次の8つが分かると、初回のご連絡で可否と概算費用までお答えできます

パンチかダイか、そして製品はどちら側か
抜いた材料が製品なのか、あいた穴が製品なのか。これで基準にすべき寸法が決まります。
抜き形状と寸法(図面があればそのまま)
図面が無い場合は現物か、現物の写真とスケッチでご相談いただけます。
クリアランス、または被加工材の板厚と材質
クリアランスの指定がある場合はその値を。無い場合は、何をどの板厚で抜くのかをお知らせください。
型材の材質と熱処理の状態
SKD11か超硬か、焼入れ済みか未処理か。材料をお持ち込みいただくことも可能です。
ダイの場合は逃がし(2番)の指示
ストレート部の長さと逃がしの角度。図面に無ければ現物から実測するか、用途を伺って提案します。
角のRをどこまで許容できるか
ワイヤー放電では角にワイヤー半径分のRが残ります。ピン角に近い形が必要な場合は事前にお知らせください。
数量と、今後も継続するか
1本だけか、予備を含めて複数か、消耗品として定期的に必要か。進め方が変わります。
いつまでに必要か
ラインが止まっている場合はその旨をお伝えください。優先して対応します。

現場でつまずきやすいケース

「同じ寸法で作った」のにクリアランスが合わない

摩耗した現物をそのまま写したケースです。使われた型は刃先が丸まり寸法も変わっています。摩耗していない面を基準に、元の設計寸法を推定する必要があります。

角の丸みが大きくて製品が規格外になった

角のR指示が伝わっていなかったケースです。ワイヤー放電では必ずワイヤー半径分のRが残ります。許容値を発注時に決めておけば防げます。

焼入れ前に仕上げて、変形で寸法が狂った

工程順の問題です。放電加工なら焼入れ後に仕上げられるので、熱処理変形を取り込んだうえで最終寸法を出せます。

スクラップが詰まって型が壊れた

逃がしが足りないか、ストレート部が長すぎた可能性があります。作り直す際に見直すことで再発を防げます。

放電加工面の変質層は、型の寿命に影響するか

放電加工では、放電の熱によって加工面にごく薄い層が生じます。これを変質層(白層)と呼びます。パンチ・ダイのように繰り返し荷重がかかる部品では、この層の扱いが実務上の論点になります。

なぜ気にする必要があるのか

変質層は、急激に溶けて固まった組織のため元の材料より脆くなっていることがあります。刃先のように応力が集中する部位では、ここが微細な欠けの起点になる可能性が指摘されています。とくに超硬のように元々脆い材料では、無視できない要素です。

実務上の対処

対処は大きく3つあります。ひとつは仕上げ条件を細かくして変質層そのものを薄くすること。放電のエネルギーを下げるほど層は薄くなりますが、加工時間は長くなります。ふたつめは後工程で除去すること。刃先の研磨や、ラップなどの仕上げを加えます。みっつめは用途によっては許容することです。

どこまで手をかけるかは、その型が何ショット持てばよいのかによって変わります。試作用の型と、数十万ショット回す量産型では要求が違います。ご依頼の際に想定するショット数や、これまでの交換周期をお知らせいただければ、仕上げの程度をご提案できます。指示がない場合は一般的な仕上げで加工します。

材料の支給・手配について

型材はお客様からの支給でも、当社での手配でも対応できます。すでに焼入れ済みの材料を支給いただく形が最も多いパターンです。放電加工は硬さの影響を受けないため、熱処理を終えた状態でお預かりして問題ありません。材質の指定がある場合はその旨を、お任せいただく場合は用途と想定寿命をお知らせください。

費用と納期の考え方

パンチ・ダイの費用は、①材料費 ②形状の複雑さ(ワイヤーが動く距離)③要求精度 ④数量で決まります。超硬は材料そのものが高価なため、鋼で足りる用途なら鋼を選ぶほうが総額は下がります。逆に、摩耗で頻繁に止まっている工程なら、超硬にして交換頻度を下げたほうが結果的に安く済むこともあります。

形状については、単純な丸や四角より、細かい凹凸のある異形のほうが加工時間は長くなります。ワイヤーが輪郭をなぞる距離がそのまま時間になるためです。見積り時に形状が分かれば、どこが費用を押し上げているかもお伝えできます。

納期は、当社の場合、通常のご依頼で1週間前後、お急ぎの場合は2〜5日での対応実績があります。土日祝も稼働しているため、週末をまたぐ緊急案件でも作業を止めません。費用の全体像は放電加工の費用相場もあわせてご覧ください。

よくあるご質問

パンチを1本だけ作ってもらえますか?

1本からお受けしています。型全体を作り直す必要はありません。欠けたパンチと同じものを1本だけというご依頼は多く、日常的に対応しています。

図面が無くても、現物があれば実測して製作できます。破損している場合も、欠けた破片を含めてお送りいただければ元の形を復元しやすくなります。

超硬のパンチ・ダイも加工できますか?

できます。超硬合金はHRA88〜93(HV1,300〜2,000)と非常に硬く切削では加工できませんが、放電加工は硬さの影響を受けないため問題なく加工できます。

ただし超硬は脆い材料なので、無理な条件を避けて欠けを防ぐ必要があります。また硬さを図面で指定される場合は、HRCではなくHRAまたはHVでの指示をお願いしています。HRCはHV940(HRC68)付近が測定上限で、超硬の硬さ領域を測れないためです。

焼入れした後のパンチ・ダイでも加工できますか?

できます。むしろ焼入れ後に仕上げるほうが精度が出ます。焼入れでは必ず変形が生じるため、焼入れ前に仕上げるとその変形が製品精度にそのまま現れてしまいます。

放電加工は硬さに関係なく加工できるので、熱処理を終えた状態から最終寸法に仕上げられます。既存の型に対する追加加工や修正も同様に対応できます。

ワイヤー放電加工だと角にRが残ると聞きました。どのくらいですか?

使用するワイヤーの半径分が最小のRになります。エンドミルなど回転工具に比べればはるかに小さくできますが、完全なピン角(R0)にはできません

製品の規格上、角のRに上限がある場合は、発注時に許容値をお知らせください。ワイヤー径の選定や加工方法で対応できるか判断してご回答します。角の要求が特に厳しい場合は、形彫放電加工との組み合わせをご提案することもあります。

パンチがプレートに折れ込んで抜けません。どうすればいいですか?

放電加工で折れ込んだパンチだけを溶かして除去できます。プレート側を傷めずに残せるため、プレートごと作り直すより大幅に安く早く済みます。

ハンマーで叩き出そうとすると穴を広げてしまい、結局プレートも作り直しになることがあります。無理に力をかける前にご相談ください

クリアランスの値が分かりません。それでも依頼できますか?

できます。その場合は「何を」「どの板厚で」抜くのかをお知らせください。被加工材の材質と板厚が分かれば、一般的な設計の考え方をお伝えできます。

ただし採用する値は、求める切り口の品質や型の寿命方針によって変わる設計判断です。当社は指示いただいた寸法どおりに加工しますので、最終的な値はお客様側で決定していただくか、事前の打ち合わせで取り決めさせてください。まずはお問い合わせフォームからご相談ください。

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