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焼入れ材にタップが立たない|放電加工でネジ穴を作る方法

焼入れした後にネジ穴が必要になった。タップが立たない」「硬い材料にタップを入れたら、また折れた」「超硬にネジを切りたいが、どこも受けてくれない」——硬い材料へのタップ加工は、切削では原理的に成立しません。

タップが折れるのは腕の問題ではなく、工具と材料の硬さの関係によるものです。この記事では、なぜ立たないのかを構造から説明し、現場でよく試される回避策の限界を整理したうえで、放電加工でねじ山そのものを作る方法を、実際にこの加工を行っている専門工場が解説します。

先に結論だけお伝えします

硬くてタップが立たない材料にも、放電加工でねじ山を作れます。

1本から試作品でも対応します
当日回答写真1枚で可否を判断
土日祝も稼働止まっている現場を優先

これからタップを立てようとしている方へ ── まずこの3つだけ

  1. 無理にタップを入れないでください硬さの関係が逆転している以上、条件を変えても立ちません。折れると状況が悪化します。
  2. 材質・硬さとねじの規格をメモしてくださいSKD11でHRC60、M8×1.25 のように。「焼入れ済み」だけでも判断できます。
  3. その写真を送ってください取れるかどうかだけの判断でも構いません。当日中にご回答します。

見積もりは無料です。しつこい営業電話はいたしません。図面が無くても、現物の写真だけでご相談いただけます。
「この状態でも取れるのか」を知りたいだけ、というご連絡がいちばん多いです。お気軽にどうぞ。

目次

なぜ硬い材料にタップは立たないのか

切削でねじを立てるには、タップの刃が材料に食い込んで、材料を削り取る必要があります。そのためには、工具のほうが被削材より十分に硬くなければなりません。一般に、安定して削るには工具が被削材の1.3〜1.5倍程度の硬さを必要とすると言われます。

焼入れした鋼はHRC55〜62程度、超硬合金にいたってはHRA88〜93(HV1,300〜2,000)に達します。この領域では、タップの刃先が材料に食い込めません。進まないのに回そうとするので、ねじれた力だけが工具にかかり、折れます。

タップが立つかどうかは「硬さ比べ」で決まる 切削でねじを立てるには、工具が材料より十分に硬い必要があります。目安は 1.3 倍です。 0 400 800 1200 1600 硬さ(ビッカース HV) タップの硬さ HV800 安定して削れる限界 生材(S45Cなど) HV200 余裕で削れる 調質材(HRC40) HV400 削れる 焼入れ鋼(HRC55) HV600 ぎりぎり・折れやすい 焼入れ鋼(HRC60) HV700 立たない 超硬合金 HV1500 工具より硬い・論外 バーが緑の点線を超えた材料は、タップの硬さが足りません。HRC60 では工具のほうがわずかに硬いだけで、 必要な 1.3 倍に届かないため、刃が食い込む前に工具がねじ切れます。 その結果、穴の中で何が起きるか 軟らかい材料 = 刃が食い込む 切りくず ねじ山が できる 刃が材料を削り取りながら、少しずつ進みます。 硬い材料 = 刃が滑って進めない ここで ねじ切れる 壁を削れないまま回すので、工具だけがねじれます。
タップ(工具鋼)の硬さはHV800前後。安定して削るには材料がその1.3分の1以下である必要があり、HRC60(HV700)の焼入れ鋼では届かない。だから刃が食い込めず、工具だけがねじ切れる。
「もっと丁寧にやれば立つ」ではありません

回転を落とす、切削油を変える、手回しにする——いずれも試される方法ですが、硬さの関係が逆転している以上、条件を変えても原理は変わりません。うまくいったように見えても、途中で折れると状況はさらに悪化します。折れ込んだタップは、それ自体が硬いため取り出すのも困難になります。

硬さ別・タップ加工の可否

材料の状態硬さの目安切削タップ実務での扱い
生材・焼なまし材 HRC30まで 問題なし 通常のタップ加工で対応できます。
調質材・プリハードン鋼 HRC30〜40 可能 工具の選定と条件次第。一般的な範囲です。
やや硬い調質材 HRC40〜50 条件が厳しい 専用タップが必要。折損のリスクが上がり始めます。
焼入れ鋼(SKD11など) HRC55〜62 実質不可 切削では成立しません。放電加工の領域です。
超硬合金 HRA88〜93 不可 工具のほうが軟らかいため、原理的に削れません。

なお超硬合金の硬さはHRCでは表せません。HRCはHV940(HRC68)付近が測定上限で、超硬の領域を測れないためです。図面での硬さ指定はHRAまたはHVでお願いしています。詳しくはタングステン・超硬の硬度と加工方法をご覧ください。

現場でよく試される5つの回避策と、その限界

回避策どこまで有効か限界
下穴を大きめにする HRC40程度までなら効果あり ねじの引っかかり率が下がり、強度が落ちます。焼入れ材では結局立ちません。
スパイラルタップ・専用コーティング HRC45〜50あたりまで 工具の硬さ自体は変わらないため、焼入れ材では折損します。
切削油・条件の見直し 境界領域での成功率を上げる 硬さの逆転そのものは解決しません。
ヘリサート・ねじインサート 下穴とタップが立つ材料でのみ有効 インサートを入れるにもタップ加工が要るため、焼入れ材では前提が崩れます。
焼き戻して軟らかくする 理屈上は可能 部品全体の硬さが変わり、本来の性能を失います。再度焼入れすれば変形します。本末転倒になりがちです。
工程を組む段階で決まってしまうこともあります

本来は「焼入れの前にネジ加工を済ませる」のが定石です。しかし設計変更や、組み付け段階での追加要求など、後から必要になるケースは避けられません。また焼入れ前に加工しても、熱処理変形でねじが狂うことがあります。こうした場合に、硬いまま加工できる手段があるかどうかが分かれ目になります。

放電加工なら、ねじ山そのものを作れる

放電加工は、電極とワークの間で放電を起こし、その熱で材料を溶かして取り除く加工です。削るのではないため、材料の硬さは加工の可否に影響しません

ねじを作る場合は、作りたいねじ形状そのものを電極として製作し、それを回転させながらねじのピッチに合わせて送り込みます。この動きを揺動ヘリカル加工と呼びます。電極の形がそのまま母材に転写され、ねじ山ができあがります。

ネジ電極による放電加工 —— 削らずに、ねじ山を転写する ネジ電極(銅など) 作りたいねじ形状そのもの ねじ山が形成される 焼入れ材・超硬 電極は材料に触れない 揺動ヘリカル加工 電極を回転させながら、ねじ のピッチに合わせて送り込む 動きで、ねじ山を作ります。 切削ではないため、材料の硬さは加工の可否に影響しません。条件は「電気を通す材料であること」だけです。 ※ 図は原理を示す模式断面です。電極形状はねじの呼び径とピッチに合わせて製作します。
ねじ形状の電極を回転させながらピッチに合わせて送り込み、放電でねじ山を転写する。電極は接触しないため折損が起きず、材料の硬さも問わない。

電極は母材より軟らかくてかまわない

電極には銅などの軟らかい金属を使います。切削と違い、工具が被削材より硬い必要はありません。放電のエネルギーで溶かすため、硬さの序列は無関係です。この点が、切削では越えられなかった壁を越える理由です。

力がかからないので折れない

電極はワークに接触しません。したがってねじり応力もかからず、工具が折れるという事故が起きません。タップ折損のリスクそのものが消えます。

対応できる範囲

項目対応補足
ねじの呼び径 M2〜M20程度 これより外れる場合もご相談ください。電極製作の可否から判断します。
焼入れ鋼(SKD11・SKH51など) 対応可能 硬さの影響を受けません。焼入れ後の追加工が可能です。
超硬合金 対応可能 切削タップでは不可能な領域です。脆いため条件に配慮します。
止まり穴(底のあるねじ穴) 対応可能 深さを指示いただければ、その位置で止めます。
樹脂・セラミックス 対応できません 電気を通さないため、放電加工の原理が成立しません。
大量生産の軟材へのねじ切り 切削が有利 普通に立つ材料なら、切削タップのほうが圧倒的に速く安価です。
「立つ材料」には使わないでください

放電加工でのねじ加工は、切削では成立しない場合の手段です。通常のタップが立つ材料であれば、切削のほうが速く安く仕上がります。当社としても、無理に放電加工をおすすめすることはありません。硬くて立たない、あるいは折れて困っている場合にご相談ください。

硬くてタップが立たない部品、1個からお受けします

「焼入れ後にネジ穴が必要になった」「超硬にねじを切りたい」「何度もタップを折っている」——こうしたご相談を日常的にお受けしています。図面がなくても、現物の写真からご相談いただけます。

写真1枚で無料相談

見積もりは無料です。しつこい営業電話はいたしません。土日祝も稼働しており、工程が止まっている案件を優先して対応します。

ねじの精度と強度はどうなるか

形状は電極で決まる

ねじ山の形は、電極の形がそのまま転写されます。したがって、必要な呼び径とピッチを指示いただければ、その形で製作します。相手のボルトが決まっている場合は、その情報をお知らせいただくのが確実です。

表面には薄い変質層が生じる

放電の熱により、加工面にはごく薄い変質層が残ります。通常の締結用途では実用上問題になりませんが、繰り返し着脱する箇所や、疲労強度が重要な部位では、この点を設計段階で考慮しておく必要があります。仕上げ条件の調整で層を薄くすることもできます。

母材が硬いぶん、ねじ自体は強い

焼入れ材に直接ねじを形成するため、母材の硬さがそのままねじ部の強度になります。軟らかい材料にヘリサートを入れる場合とは、成り立ちが異なります。

「焼入れ前」か「焼入れ後」か —— 工程設計の判断

どちらにも一長一短があります。部品の要求によって選ぶべき順序が変わります

焼入れ前にねじを加工する

通常のタップで加工できるため、安く速く済みます。ただし熱処理でねじが変形・収縮する可能性があり、精度が要る箇所では読み切れません。

焼入れ後に放電で加工する

熱処理変形の影響を受けません。最終形状として仕上げられます。加工費は上がりますが、精度と確実性が要る箇所に向きます。

焼入れ前に加工し、後で修正する

変形した分だけ放電で整える進め方です。全数ではなく、狂った部分だけの対応で済むことがあります。

設計変更で後から必要になった

もっとも多いパターンです。この場合、選択肢は放電加工か、部品を作り直すかの二択になります。

ねじ以外の「硬くて加工できない」も同じ理屈です

タップが立たないのは、硬さの序列が逆転しているからでした。同じ理屈で成立しなくなる加工は、ほかにもあります。焼入れ後・超硬でお困りの加工があれば、まとめてご相談ください。

やりたいこと切削での状況放電加工
焼入れ後に穴をあけたい ドリルが立たない 硬さに関係なく加工できます。細い穴・深い穴も対応します。
焼入れ後にキー溝を追加したい 刃物が負ける 内側の角溝も、電極やワイヤーで形状どおりに加工できます。
熱処理で狂った寸法を直したい 削れない 硬いまま最終寸法に仕上げられます。作り直しが不要になります。
超硬に異形の穴をあけたい 工具が存在しない 電極を形状に合わせて作るため、工具の有無が制約になりません。
焼入れ前に済ませられる加工 通常どおり可能 切削のほうが速く安価です。無理におすすめしません。
まとめて出すほうが、結果的に安くなります

ねじだけ、穴だけ、と分けて発注すると、そのたびに段取りが発生します。同じ部品で複数の加工が必要なら、まとめてご相談いただくほうが総額は下がります。「ついでにここも」という追加は、着手前であれば柔軟に対応できます。

硬い材料への加工を、工程のどこに置くか

繰り返しになりますが、本来は焼入れ前に済ませられる加工は、焼入れ前に済ませるのが正解です。放電加工は切削より時間がかかり、費用も上がります。

それでも焼入れ後の加工が必要になるのは、次のような場合です。設計段階でこの可能性を織り込んでおくと、慌てずに済みます。

熱処理変形が読み切れない精度が要る
焼入れ前に加工しても狂うなら、最初から焼入れ後に仕上げる前提で工程を組むほうが確実です。
設計変更が起こりうる部品
試作段階や、仕様が固まりきっていない部品では、後から追加できる手段を確保しておくと安全です。
材料が高価で、作り直せない
超硬や大型の焼入れ材では、失敗したときの損失が大きくなります。確実な方法を選ぶ価値があります。
既存の部品に手を入れる必要が出た
すでに完成して使われている部品には、そもそも「焼入れ前」という選択肢がありません。

判断に迷ったら、図面の段階でご相談ください

「この材質でこのねじは立つのか」「焼入れ前と後、どちらで加工すべきか」——こうした判断だけのご相談でも構いません。図面の段階で分かれば、工程の組み方から変えられます。加工が始まってから、あるいはタップを折ってからでは、選べる手が減ります。

どんな部品でご相談が多いか

金型部品(パンチ・ダイ・プレート)

プレス金型や成形金型の部品は、焼入れされているのが前提です。組み付けの都合でネジ穴を1本追加したい、あるいは位置を変えたいという要求が、熱処理後に出てきます。型は高価で作り直しが難しいため、硬いまま加工できるかどうかが分かれ目になります。関連する加工はプレス金型のパンチ・ダイ製作でも解説しています。

治具・検査具

繰り返し使う治具は、摩耗対策で焼入れされていることが多い部品です。使ってみて初めて「ここに固定用のネジが欲しい」と分かることがあり、後追いでの加工が必要になります。

超硬の工具・部品

超硬は切削タップがまったく通用しない材料です。ホルダへの取り付け用のねじなど、機能上どうしても必要なねじがある場合、放電加工以外の選択肢がほとんどありません。

設備・装置の部品

稼働中の設備を改造する際、既存の焼入れ部品にねじを追加したいという場面です。部品を作り直すと設備を長く止めることになるため、現物に加工するほうが総合的に早く済みます。

「この部品にねじが立つか」だけの確認でも構いません

材質と硬さ、ねじの規格が分かれば、加工の可否はその場で判断できます。設計中で現物がまだ無い段階でも、図面があればご相談いただけます。工程を組む前に分かれば、そもそも焼入れ前に済ませるという判断もできます。

タップが折れる前に —— 現場で判断するための3つの質問

作業を始める前に、次の3つを確認してください。ひとつでも当てはまるなら、切削でのタップ加工は避けたほうが安全です

Q1. その部品は焼入れ済みですか

焼入れ後の鋼はHRC55を超えることが多く、この領域では切削タップは成立しません。硬さが分からなければ、硬度計で測るか「焼入れした」という事実だけで判断できます。

Q2. 折ったら、その部品はどうなりますか

作り直せる部品なら試す価値はあります。しかし一点物、廃番品、材料費が高い部品では、失敗の損失が加工費を大きく上回ります。

Q3. 過去に同じ部品で折ったことがありますか

一度折れている箇所は、条件が変わらない限りまた折れます。「今度は慎重に」で解決する問題ではありません。

迷ったら、始める前に写真を送ってください

加工できるかどうかの判断だけでも構いません。着手前なら選べる手が多く、費用も抑えられます。折ってからでは選択肢が減ります。

対応できないケースもあります

何でもできると書くつもりはありません。先にお伝えしておいたほうが、無駄な時間を使わずに済みます

条件可否理由と代替案
材料が電気を通さない 不可 樹脂・セラミックスなどは放電加工の原理が成立しません。別の工法をご案内します。
部品が機械に載らない 要確認 加工槽に入るかどうかの制約があります。対応寸法の一覧でご確認ください。
据付設備に組み込まれていて外せない 不可 工場へお持ち込みいただく前提です。出張での対応は行っていません。
ごく特殊な規格のねじ 要相談 電極を製作できるかどうかで判断します。図面があればご相談ください。
できない場合は、その場でそう申し上げます

判断を先延ばしにされるのが、工程が止まっている現場にとっては一番の損失です。当社で対応できない場合は、理由とどの方法なら可能性があるかをお伝えします。無理にお受けすることはありません。

依頼するときに伝えていただきたい7項目

次の7つが分かると、写真をお送りいただいた当日中に、加工の可否と概算をご回答できます

ねじの呼び径とピッチ
M8×1.25 のように。相手のボルトが決まっていれば、その現物情報でも構いません。
ねじの深さと、貫通か止まりか
止まり穴の場合は、有効ねじ長さと下穴深さを分けてお知らせいただけると確実です。
材質と硬さ
SKD11でHRC60、超硬など。硬さが不明でも「焼入れ済み」だけで判断できます。
下穴があいているかどうか
すでに下穴があるなら、その径も。無ければ下穴からの加工になります。
ねじの本数と位置
1本か複数か。位置精度の要求があればあわせてお知らせください。
部品全体の大きさと重さ
ねじは小さくても、部品が大きければ機械に載るかの確認が必要です。
いつまでに必要か
工程が止まっている場合はその旨を最初にお伝えください。優先して対応します。

現場でよくあるつまずき

何本も折って、部品が穴だらけになった

折れたタップは硬いため、後から取るのも難しくなります。1本目で手を止めるのが結果的にいちばん安く済みます。

焼き戻して加工したら、部品の性能が落ちた

硬さは部品の機能そのものです。ねじのために硬さを捨てると、本来の要求を満たせなくなります。

焼入れ前に立てたねじが、熱処理で狂った

変形は必ず起こります。狂った箇所だけを放電で整えるという対処が可能です。

ヘリサートを入れようとして、そもそも下穴が加工できない

インサートを入れるにもタップ加工が前提です。焼入れ材ではこの前提が成立しません。

すでに折れ込んでしまっている場合

タップが中で折れている状態なら、まず折れ込んだタップを除去してからねじを作り直すことになります。除去も放電加工で対応でき、母材のねじ山を傷めずに取り出せます。除去の詳細は折れたタップ・ドリルの除去方法をご覧ください。除去とねじの再生をまとめてご依頼いただくことも可能です。

費用と納期の考え方

費用は①電極の製作 ②段取り ③ねじ1本あたりの加工時間 × 本数で決まります。電極はねじの呼び径とピッチごとに必要になるため、同じ規格のねじが複数ある部品ほど、1本あたりの単価は下がります

逆に、種類の違うねじが1本ずつ複数あるような部品では、それぞれに電極が要るため割高になります。見積り前にねじの種類と本数の内訳をお知らせいただけると、この部分まで含めてご回答できます。

納期は、当社の場合、お急ぎの案件で2〜5日、通常は1週間前後です。土日祝も稼働しているため、週末をまたぐ案件でも作業を止めません。費用の全体像は放電加工の費用相場もあわせてご覧ください。

よくあるご質問

焼入れした後の部品にネジ穴を追加できますか?

できます。放電加工は硬さの影響を受けないため、焼入れ済みの部品にもねじを形成できます。切削タップでは刃先が食い込めず折れてしまう領域です。

「設計変更でネジ穴が必要になった」「組み付け時に追加が決まった」といったご相談は多く、日常的に対応しています。焼き戻して硬さを落とす必要もありません。

超硬合金にネジを切ることはできますか?

できます。超硬合金はHRA88〜93(HV1,300〜2,000)と非常に硬く、切削タップでは加工できませんが、ネジ電極を使用した放電加工(揺動ヘリカル加工)によりねじ山を形成できます

対応できる呼び径はM2〜M20程度です。これを外れる場合も、電極製作の可否から判断しますのでご相談ください。なお超硬は脆い材料のため、欠けを避ける条件で加工します。

どのくらいの硬さから、タップが立たなくなりますか?

おおよそHRC40を超えたあたりから条件が厳しくなり、HRC55以上では実質的に成立しません。安定して削るには工具が被削材の1.3〜1.5倍程度の硬さを必要とするため、焼入れ鋼の領域では工具のほうが負けてしまいます。

境界の領域では専用タップで通ることもありますが、折損のリスクを抱えたままの作業になります。折れたときの損失が大きい部品であれば、最初から放電加工を選ぶほうが結果的に安全です。

放電で作ったねじの強度は、普通のねじと比べてどうですか?

ねじ山の形は電極の形がそのまま転写されるため、指示いただいた規格の形状で製作できます。焼入れ材に直接ねじを形成するので、母材の硬さがそのままねじ部の強度になります

ただし加工面にはごく薄い変質層が生じます。通常の締結用途では実用上問題になりませんが、繰り返し着脱する箇所や疲労強度が重要な部位では、設計段階でご考慮ください。仕上げ条件の調整で層を薄くすることもできます。

すでにタップが折れ込んでいます。ねじも作り直せますか?

できます。まず折れ込んだタップを放電加工で除去し、そのうえでねじを形成します。除去の際も母材のねじ山を傷めないため、状態によってはそのまま使えることもあります。

除去とねじの再生をまとめてご依頼いただけます。無理に叩き出そうとすると穴を傷めてしまうため、力をかける前にご相談ください

1本だけでも受けてもらえますか?費用はどのくらいですか?

1本からお受けしています。費用はねじの規格・本数・部品の大きさで変わるため、図面か写真を拝見してからのご回答になります。お見積りは無料です。

同じ規格のねじが複数ある部品では、電極を共用できるため1本あたりの単価が下がります。本数の内訳もあわせてお知らせください。まずはお問い合わせフォームからご連絡ください。

あわせてご覧いただきたい情報

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