「放電表面処理」と「放電加工」——名前はそっくりですが、まったく別の技術です。結論から言うと、放電表面処理は「表面に硬い皮膜を付ける」表面改質技術、放電加工は「金属を削って形を作る・直す」加工方法です。本記事では両者の違いを比較表で整理し、「自分の目的にはどちらが必要か」「どこに見積もりを依頼すべきか」を、放電加工歴40年の専門工場がわかりやすく解説します。
放電表面処理と放電加工の違い【早見表】
| 放電表面処理 | 放電加工(形彫・ワイヤー・細穴) | |
|---|---|---|
| 目的 | 表面に硬質皮膜を形成する(表面改質・コーティング) | 金属を除去して形状を作る・修正する |
| 原理 | 放電エネルギーで電極の材料を工作物表面に移着・堆積させる | 放電エネルギーで工作物の材料を溶かして除去する |
| 得られる結果 | 耐摩耗性・耐焼付き性の向上した表面 | 金型・部品の形状(穴・溝・歯形・キャビティ等) |
| 主な用途 | 金型や工具の寿命延長、表面強化 | 金型製作・補修、精密部品、難削材、折れ工具の除去 |
| 依頼先 | 表面処理の専門企業・装置メーカー | 放電加工の専門工場(当社はこちら) |
放電表面処理とは
放電表面処理は、放電のエネルギーを利用して電極側の材料(超硬合金の成分など)を工作物の表面に移着・堆積させ、硬質な皮膜を形成する表面改質技術です。母材そのものを削るのではなく、表面に「鎧を着せる」イメージで、金型や工具の耐摩耗性・耐焼付き性を高める目的で研究・実用化されています。
ポイントは、放電表面処理では形状は作れないということです。「穴をあけたい」「溝を入れたい」「金型を直したい」という目的であれば、必要なのは次に説明する放電加工です。
放電加工とは
放電加工(EDM)は、電極と工作物の間に繰り返し放電を発生させ、金属を少しずつ溶かし取りながら狙った形状を作る加工方法です。刃物で削る切削と違い、焼入れ鋼や超硬などの硬い材料でも、材料の硬さに関係なく高精度に加工できます。詳しくは放電加工とは?原理・種類・メリットの解説記事をご覧ください。
放電加工には主に3つの種類があります。
- 形彫(型彫)放電加工:電極の形を金属に転写する。金型のキャビティ・リブ・深穴などに。
- ワイヤー放電加工:ワイヤー線で輪郭を切り抜く。歯車・スプライン・抜き型などに。
- 細穴放電加工:小径の深穴をあける。冷却穴・スタート穴などに。
「放電表面処理」と検索した人がよく探しているもの3パターン
実は「放電表面処理」と検索する方の目的はさまざまで、本当に必要なのは放電加工だった、というケースが少なくありません。よくある3つのパターンで整理します。
①梨地・シボ調の均一な仕上げ面が欲しい
形彫放電加工で仕上げた面は、細かな放電痕による均一な梨地(放電面)になります。光沢を抑えた美しい仕上げ面や、離型性・オイル保持性を狙った面が目的なら、形彫放電加工で対応できます。面粗さの制御については放電加工の精度・面粗度の解説記事で詳しく紹介しています。
②表面を硬くして金型・工具の寿命を延ばしたい
これは本来の「放電表面処理」やPVD/CVDコーティング、窒化などの表面処理の領域です。当社では表面処理(コーティング)は行っていませんので、表面処理専門の企業へのご相談をおすすめします。ただし「摩耗して寸法が痩せた金型を直したい」なら話は別で、次のパターン③をご覧ください。
③摩耗・損傷した金型を直したい
金型の摩耗・欠け・設計変更への対応は、放電加工による金型補修・改造の得意分野です。焼入れ後の高硬度材でも1/100mm単位で修正できます。詳しくは金型の補修・改造サービスをご覧ください。
当社にできること・できないこと
見積もり依頼先を間違えると、お互いに時間のロスになります。当社(有限会社ギャップ・イーディーエム/愛知県尾張旭市)の対応範囲を正直にお伝えします。
対応できます
- 形彫・ワイヤー・細穴の放電加工
- 金型の補修・改造(焼入れ後もOK)
- 梨地など放電面の仕上げ・面粗さ制御
- 超硬・インコネル等の難削材加工
- 折れたタップ・ドリルの除去
対応していません
- 放電表面処理(硬質皮膜の形成)
- PVD/CVDコーティング・窒化などの表面処理
→表面処理の専門企業へご相談ください。どちらか判断に迷う場合は、図面や写真を添えてお気軽にお問い合わせください。
よくある質問
放電表面処理と放電加工は同じものですか?
別の技術です。放電表面処理は放電エネルギーで表面に硬質皮膜を形成する表面改質技術、放電加工は放電で金属を除去して形状を作る加工方法です。名前が似ているため混同されやすいですが、目的も結果も異なります。
放電加工の仕上げ面(梨地)だけが目的でも依頼できますか?
はい。形彫放電加工の仕上げ面は均一な梨地になり、面粗さの調整も可能です。図面や現物の写真をお送りいただければ、狙いの面が出せるか最短即日で回答します。
金型の表面が摩耗しました。表面処理と放電加工のどちらに頼むべきですか?
「硬い皮膜を付けて予防したい」なら表面処理、「痩せた寸法や欠けを直したい」なら放電加工による金型補修です。当社は後者に対応しており、焼入れ後の高硬度材でも1/100mm単位で修正できます。
どちらが必要か自分では判断できません。相談だけでも可能ですか?
可能です。図面がなくてもスマホ写真だけで構いません。内容を確認し、当社で対応できる場合は概算と納期を、表面処理の領域の場合はその旨を正直にお伝えします。営業時間内は当日中に返信します。
その加工、放電加工で解決できるか無料で判定します
図面1枚・スマホ写真でOK。営業時間内は当日中に返信。しつこい営業電話はいたしません。
無料で見積もり・相談するお急ぎの方はお電話で:0561-55-7560

