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放電加工の精度と面粗度|公差±0.005mmの実力

放電加工を外注する際、最も気になるのが「どれくらいの精度が出るのか」「表面はどの程度の仕上がりになるのか」という点ではないでしょうか。

この記事では、放電加工の寸法精度と面粗度(表面粗さ)を、形彫放電加工とワイヤー放電加工それぞれについて具体的な数値とともに解説します。

目次

放電加工の寸法精度

形彫放電加工の寸法精度

加工条件 達成可能な精度
荒加工(大電流・高速加工) ±0.02〜0.05mm程度
仕上げ加工(低電流・微細放電) ±0.005〜0.01mm程度
超精密仕上げ ±0.002〜0.005mm程度(条件次第)

形彫放電加工の精度は、放電ギャップ(電極とワーク間の隙間)の制御精度に依存します。放電ギャップは加工条件(電流値・パルス幅・放電時間など)によって変化し、仕上げ加工では数μm〜十数μm程度になります。この放電ギャップを正確に見込んで電極寸法を設計するノウハウが、最終的な加工精度を決定します。

ワイヤー放電加工の寸法精度

加工条件 達成可能な精度
1st カット(初回切断) ±0.01〜0.03mm程度
2nd カット(セカンドカット) ±0.005〜0.01mm程度
3rd カット以降(仕上げカット) ±0.002〜0.005mm程度

ワイヤー放電加工では、同じ輪郭を複数回に分けてカットすることで精度を高めます。1st カットで粗加工し、2nd・3rd
カットで仕上げ面を少しずつ追い込んでいくイメージです。カット回数が多いほど精度は向上しますが、加工時間(=コスト)も増加します。

面粗度(表面粗さ)の実力

面粗度とは

面粗度(表面粗さ)は、加工面のミクロな凹凸の程度を表す指標です。JIS B 0601で定義される算術平均粗さRaが最も広く使われます。Raの数値が小さいほど、表面が滑らかであることを意味します。

放電加工面の面粗度

加工条件 形彫放電加工 Ra ワイヤー放電加工 Ra
荒加工 Ra 10〜25μm Ra 3〜5μm
中仕上げ Ra 1〜5μm Ra 1〜2μm
仕上げ Ra 0.3〜1μm Ra 0.3〜0.8μm
鏡面仕上げ Ra 0.1μm以下(可能) Ra 0.2μm程度(限界に近い)

形彫放電加工は、仕上げ条件を追い込むことで鏡面に近い表面(Ra 0.1μm以下)を実現できます。これは、放電エネルギーを極限まで小さくし、微細な放電痕(クレーター)の深さを抑えることで達成されます。

放電加工面の特徴

放電加工面には、切削加工面とは異なる特有の特徴があります。

  • 放電痕(クレーター):放電加工面はランダムな位置に生じた微細なクレーターの集合体です。切削加工の規則的な加工痕とは異なり、方向性のない等方的な表面が得られます
  • 白層(再鋳造層):放電により溶融した金属の一部がワーク表面で急冷凝固し、薄い白い層(数μm〜数十μm程度)を形成します。この層は母材より硬度が高いですが、靭性が低くマイクロクラックを含むことがあります
  • 熱影響層:白層の下には、熱による組織変化(焼戻し等)を受けた層が存在します。通常は数十μm程度の厚さです

精度を左右する6つの要因

①電極の精度(形彫の場合)

形彫放電加工の精度は電極の精度で決まります。電極の寸法誤差はワークにそのまま転写されるため、電極は最終製品と同等以上の精度で製作する必要があります。

②放電ギャップの安定性

加工液の状態(温度・汚れ・濃度)、加工屑の排出状態により放電ギャップが変動します。加工液管理が不十分だと精度が低下します。

③加工機の精度と剛性

加工機自体の位置決め精度・繰り返し精度・テーブルの剛性が基盤となります。最新の放電加工機は位置決め精度0.001mm以下を実現しています。

④温度管理

ワークと加工機の熱膨張が精度に影響します。高精度加工では、加工液の温度制御や恒温環境での加工が重要です。

⑤電極消耗の補正(形彫の場合)

形彫放電加工では加工中に電極も消耗します。電極消耗率を正確に把握し、加工深さの補正を行うことが精度維持のポイントです。

⑥振動と外部環境

微細加工では、工場の振動(隣接する加工機や搬送設備の振動)が精度に影響することがあります。

用途に応じた精度指定のポイント

必要以上に高い精度を指定すると、コスト増と納期延長につながります。用途に合わせた適切な精度指定が重要です。

用途 推奨精度 推奨面粗度
プレス金型(一般) ±0.01mm Ra 1〜3μm
プレス金型(精密) ±0.005mm Ra 0.5〜1μm
プラスチック金型キャビティ ±0.01mm Ra 0.5〜1μm(シボ加工面は別途)
歯車・スプライン ±0.005mm Ra 0.5〜1.5μm
タップ折れ除去 ネジ山保護が主目的 面粗度は問わない場合が多い

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まとめ

放電加工は、形彫・ワイヤーともに±0.005mm以下の高精度を実現できる加工技術です。面粗度も仕上げ条件を追い込めばRa
0.1μm
レベルの鏡面に近い表面が得られます。

精度は加工条件だけでなく、電極の品質・加工機のコンディション・加工液管理・温度管理など、工場の総合的な技術力に左右されます。

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よくある質問(FAQ)

Q. 放電加工で実現できる精度はどのくらいですか?A. 当社では公差±0.005mmの加工実績があります。加工条件や素材によりますが、一般的に±0.005〜±0.01mmが放電加工の精度範囲です。
Q. 放電加工の面粗度はどこまでいけますか?A. 仕上げ加工を行うことでRa0.2μm以下の鏡面仕上げも可能です。通常のRa1〜5μmから、必要に応じて段階的に仕上げていきます。
Q. 精度と面粗度、両方を同時に求めることはできますか?A. 可能ですが、高精度かつ高品位面粗度を求めると加工時間が長くなりコストに影響します。要件に応じた最適なバランスをご提案します。
Q. 放電加工と切削加工、精度はどちらが上ですか?A. 切削加工の方が一般的に精度は高いですが、硬度HRC50以上の素材や複雑形状では放電加工が優位になります。素材や形状によって最適な方法が異なります。

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この記事を書いた人
GAP.EDM 技術チーム
形彫放電加工の専門工場|愛知県尾張旭市
創業以来、放電加工一筋に技術を磨いてきた専門工場です。形彫放電・ワイヤー放電・細穴放電をワンストップで対応。他社で断られた難加工も、40年の経験と最新設備で解決します。
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