放電加工機、買うべきか。
それとも外注すべきか。
「社内に放電加工の需要が増えてきた。機械を入れるべきだろうか」——設備投資は1,000万円を超える判断です。この記事では、機械を売る立場ではなく外注を受ける側の町工場が、導入にかかる本当のコスト、外注との損益分岐点、そして「買ったほうがいいケース」まで正直に整理します。
機械本体の価格は、導入コストの一部でしかない
放電加工機の本体価格は、新品でおおよそ1,000万円台から、大型・高精度機では数千万円規模になります。ただし実際に「使える状態」にするには、本体以外の費用が積み上がります。ここを見落とすと、導入後に想定が狂います。
| 項目 | 内容 | 見落とされやすい点 |
|---|---|---|
| 機械本体 | 形彫・ワイヤーとも新品は1,000万円台〜。大型・高精度機はさらに上 | 中古なら安く入るが、精度・消耗度・保守部品の供給を要確認 |
| 設置・付帯工事 | 搬入、電源工事、床の補強、加工液の処理設備 | 工場のレイアウト変更が必要になることがある |
| 電極の製作環境(形彫) | 電極を作るための切削機・材料・設計工数 | 形彫は「電極を作れて初めて使える」。ここが最大の盲点 |
| 人材と習熟期間 | 加工条件の設定、段取り、トラブル対応ができる人 | 購入直後から狙い通りの精度が出るわけではない。習熟には時間がかかる |
| ランニング | 電極材・ワイヤー・加工液・フィルター・電気代・保守契約 | 長時間加工は電力を使う。消耗品は継続的に発生する |
| 稼働率のリスク | 仕事が途切れても固定費は発生する | 実務では「常にフル稼働」にはならない。ここが損得を分ける |
機械価格の詳細な比較は放電加工機メーカー8社比較にまとめています。
買うべきケース・外注が得なケース(正直に)
外注を受ける側として、それでも「これは買ったほうがいい」と思うケースがあります。逆に外注が明らかに有利なケースも。どちらも正直に書きます。
買ったほうがいいケース
・放電加工が毎日フル稼働で回るだけの仕事量が、継続的に見込める
・図面を外に出せない機密性の高い製品を扱っている
・夜間や休日に自社都合でいつでも動かしたい
・加工条件そのものが自社のノウハウで、社内に蓄積したい
・すでに電極を作れる設備と人がいる(形彫の場合)
外注が得なケース
・年間の加工量が読めない・変動が大きい
・放電加工が工程の一部で、常時使うわけではない
・大型や難削材など、たまにしか出ない案件のために機械を持つのは重い
・繁忙期だけ処理能力を増やしたい
・今すぐ加工が必要で、導入と習熟を待てない
意外に多いのが「買ったが持て余す」ケースです。導入した機械が特定の案件専用になってしまい、稼働率が上がらない。固定費だけが残る——この失敗を避けるためにも、まず外注で自社の年間加工量を実測してから判断するのが安全です。
外注のコストは「交渉できる」——町工場だから話が早い
見落とされがちですが、外注費は固定された定価ではありません。当社は少数精鋭の町工場です。営業担当や商社を介さず、実際に加工する人間が直接お見積りします。だから、価格も納期も直接ご相談いただけます。
- 「ずばりこの金額でできないか」の相談歓迎——ご予算が決まっているなら、遠慮なくお伝えください。可能な限り応じますし、難しい場合もなぜ難しいのかを正直にご説明します。黙って高い見積りを出すことはしません。
- 折れ込んだ工具の除去など、突発的なトラブル対応が中心(機械を持っても稼働率が上がらない典型例)
- 予算から逆算した提案ができます——公差を本当に必要な箇所だけに絞る、加工範囲を分ける、素材を支給いただく、納期に少し余裕をもらう。こうした調整でコストは実際に変わります。どこを緩めれば安くなるかを一緒に考えられるのが、直接取引の利点です。
- 継続・数量がまとまるなら単価のご相談も——量産や工程請負として継続的にご発注いただける場合、単価の見直しは当然のご相談事項です。
- 意思決定が速い——社内で稟議を回す必要がありません。電話一本で「できる・できない」「いくらくらい」がその場で返ってきます。
ただし、品質を落として安くすることはしません。無理な価格でお受けして精度が出なければ、結局お互いの損になるからです。できることとできないことをはっきりお伝えした上で、その範囲で最善の条件をご提案します。
迷っているなら、まず1個だけ外注してみてください
機械を買うかどうかの判断材料は、カタログではなく実際の加工結果です。1個試すだけで、次のことが分かります。
- その加工に本当にどれくらい時間がかかるのか——内製した場合の稼働時間の見積もりが現実的になります
- 外注の相場と品質のレベル——買う場合との比較対象ができます
- 自社の年間発生量——数ヶ月外注を続ければ、損益分岐点を実データで判断できます
- そもそも放電加工が最適解なのか——切削など他工法のほうが良い可能性もあります → 放電加工でできること・できないこと
費用感を先に知りたい場合は放電加工の費用相場、依頼の流れははじめての放電加工外注ガイドをご覧ください。
よくある質問
予算が決まっているのですが、その金額で相談してもいいですか?
放電加工機の導入費用はどれくらいですか?
年間どれくらい使えば内製のほうが得ですか?
中古機を買うのはどうでしょうか?
量産で継続発注する場合、単価は相談できますか?
まず1個だけ試作をお願いできますか?
買う前に、一度お話ししませんか
設備投資の判断材料として、外注した場合の実際の費用と納期をお伝えします。図面や写真をお送りいただければ、営業時間内は当日中にご返信します。ご予算がお決まりなら、その金額もあわせてお知らせください。可能な限りご相談に応じます。
加工する人間が直接お答えします。しつこい営業は一切しません。

