「うちの機械では入らない」——
そう断られた加工こそ、お持ちください。
大型ワーク、厚板のワイヤーカット、深いリブ、深穴の多数あけ。こうした「サイズが大きい・時間がかかる」放電加工は、対応できる工場が限られ、探すほど断られやすい領域です。加工槽1,200×800mmの大型機3台を含む8台体制で、愛知から全国の「入らない・終わらない」案件を受けてきた専門工場が、対応範囲の目安と依頼のコツを解説します。
大型・厚物・深物が断られやすい3つの理由
技術的に不可能だから断られるのではありません。多くの場合、理由は工場側の設備と経営の事情です。
① 物理的に槽へ入らない
放電加工は加工槽(加工液のタンク)にワークを沈めて行うため、槽の内寸を超えるワークはそもそも段取りできません。中型機1台の工場では、大きめの金型プレートの時点でアウトです。
② 機械を長時間占有してしまう
深いリブや厚板の切断は、放電時間が数十時間に及ぶことがあります。機械が1〜2台の工場にとって「1台が数日ふさがる」案件は、他のお客様の特急を受けられなくなるリスクそのもの。だから断られます。
③ 重量物の段取り・ハンドリング
大型ワークはクレーンでの吊り込み、水平出し、芯出しに経験が要ります。「受けたことがないから受けない」という工場は少なくありません。
裏を返せば、大型機を複数台持ち、長時間案件と特急案件を並行できる体制の工場を見つければ、この種の案件は一気に進みます。
どこまで入る?当社設備のサイズ早見表
「まず入るかどうか」を最速で判断できるよう、当社の全設備の加工槽内寸を公開します。搬入の都合上、XY方向とも内寸−約50mmがワークサイズの目安です。
| 区分 | 型式 | 台数 | 加工槽 X×Y×Z(mm) |
|---|---|---|---|
| 形彫(大型) | 三菱電機 EX30 | 3 | 1,200×800×450 ※コラムアップ時 |
| 形彫(大型) | 三菱電機 EA30 | 1 | 900×600×350 |
| 形彫(中型) | 三菱電機 EA22E | 1 | 1,000×730×400 |
| 形彫(小型) | 三菱電機 EX12/EX12S | 2 | 900×600×350 |
| ワイヤー | ファナック α-1iB | 1 | 820×730×300 |
大型機EX30は量産でも稼働しているため、大型・長時間案件は事前の空き確認をおすすめします。設備の詳細は設備一覧ページをご覧ください。
時間がかかる加工の代表例と、当社の対応範囲
厚板・高さのあるワークのワイヤーカット
板厚が増すほどワイヤーの走行は遅くなり、加工は「時間との勝負」になります。当社のワイヤー機は加工槽高さ300mmクラスの厚物まで対応します(形状・材質により条件が変わるためご相談ください)。超硬や焼入れ鋼の厚物切断も、切削と違い硬さの影響を受けません。
金型の深リブ・深彫りキャビティ
細く深いリブは加工屑の排出が難しく、電極設計と揺動条件のノウハウがそのまま品質と時間に効きます。電極設計から自社で行う工場なら、リブ本数が多い型でも一貫で任せられます。
深穴・長尺ワークへの穴あけ
当社では長さ900mmのシャフトに深さ350mmの深穴という実績があります。深穴はワーク高さ1,000mm程度まで対応可能です。詳しくは深穴・細穴放電加工の解説記事へ。
多数個取り金型・穴の多数あけ
同じ形状を何十カ所も加工する案件は、1カ所あたりは短くても合計時間が大きくなる典型例。合計加工時間が読みやすい案件なので、機械の空きを確保できる複数台体制の工場なら納期を約束しやすい領域です。当社は土日祝も稼働しています。
ワイヤーカットの板厚限界はどのくらい?
「ワイヤーカットで何mmまで切れるのか」は、厚物案件で最初に出る疑問です。結論から言うと、多くの一般的なワイヤー放電加工機は200〜300mmクラスまで、大型の専用機では500mmを超える機種も存在します。ただし「切れる」と「品質よく切れる」は別問題です。
板が厚くなると起きる3つのこと
- ロボット・宇宙・発電の部品加工|難削材は形彫放電加工で
- 加工速度が大きく落ちる——ワイヤーが一度に相手にする断面積が増えるため、板厚が2倍になると加工時間は2倍では済まないのが実務感覚です。厚物の見積りが高くなる最大の理由がこれです。
- 断線リスクが上がる——厚くなるほど加工屑の排出が難しくなり、放電が不安定になってワイヤーが切れやすくなります。断線のたびに結線・再開のロスが発生するため、加工条件の経験値が納期を左右します。
- 真直度・テーパの管理が難しくなる——上下のガイドで張ったワイヤーは、厚物では中央がわずかにたわみます。中央部の膨らみ(太鼓形状)を抑えるには、条件と段取りのノウハウが必要です。
つまり厚物ワイヤーは「機械があれば誰でも切れる」ものではなく、時間を読める経験と、長時間機械を回せる体制がそのまま品質と納期に直結します。当社のワイヤー機は加工槽高さ300mmクラスまで対応しますので、まず図面でご相談ください。
大型・長時間案件の見積りで伝えると早い7項目
大型案件は確認事項が多く、情報が揃っているほど見積りも納期回答も速くなります。問い合わせ時に次の7つを添えてください(揃っていなくても概算は出せます)。
- ① 外形寸法と概算重量——「入るか」「吊れるか」の即断に必須です。
- ② 材質と熱処理の有無——焼入れ前後で段取りが変わります。放電加工は硬くても問題ありません。
- ③ 図面データ(PDF・DXF・STEP)または現物写真——スマホ写真+寸法メモでも概算可能です。
- ④ 加工箇所と要求公差・面粗さ——時間を左右する最大の要素です。
- ⑤ 希望納期——特急の場合は最初に伝えてください。機械の空きを先に確保します。
- ⑥ 搬入方法の希望——発送・引き取り・持ち込みのいずれか。重量物は引き取りが確実です。
- ⑦ 継続性——単発か、今後も発生する案件か。継続案件は工程設計から提案できます。
長時間加工の費用と納期の考え方
大型・厚物・深物の見積りは「材料の値段」ではなく「機械を何時間使うか」でほぼ決まります。だからこそ、次の3点を押さえると失敗しません。
- 費用は加工時間にほぼ比例する——同じ図面でも電極設計や加工条件で時間は変わります。安すぎる見積りは条件を落としている可能性があるため、納期と検査内容まで含めて比較してください。
- 納期は「機械の空き」で決まる——数日間機械を占有する案件は、1台しかない工場では順番待ちになります。同型機を複数持つ工場なら、長時間案件を1台に任せながら他の仕事を並行できます。当社はEX30を3台保有しており、この並行運用が可能です。
- 分割・段取り替えの提案ができる工場を選ぶ——「槽に入らないから不可」で終わらせず、加工範囲の分割や治具の工夫で解決できる場合があります。図面の段階でご相談いただくのが最短です。
重量物こそ「引き取り」が効きます
大型ワークの外注で意外なハードルが輸送です。「重くて梱包できない」「チャーター便は高い」——この理由で近場しか探せず、断られ続けるケースをよく見ます。
当社は愛知県尾張旭市を拠点に、愛知県内・岐阜・三重の近隣エリアで現物の引き取り・納品に対応しています。名古屋・瀬戸・春日井・豊田・刈谷など製造業エリアはカバー範囲です。遠方のお客様は全国宅配便のほか、輸送方法自体もご相談ください。
よくある質問
どのくらいのサイズまで対応できますか?
数日かかる長時間加工でも納期を約束できますか?
厚物のワイヤーカットで材質の制限はありますか?
重量物で発送が難しいのですが、どうすればいいですか?
図面がなくても相談できますか?
ワイヤーカットは何mmの厚さまで切れますか?
「入らない」「終わらない」で止まっている案件、ありませんか
断られ続けている大型・厚物・深物の加工こそ、当社の得意分野です。ワーク寸法と図面(または写真)をお送りいただければ、対応可否と概算を営業時間内は当日中にご回答します。
創業40年・累計3,000件超。しつこい営業は一切しません。

