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【決定版】放電加工とは?原理・種類・メリットから切削との違いまで徹底解説

「放電加工って何?」「切削加工と何が違うの?」——金属加工に携わる方なら、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

放電加工(EDM:Electrical Discharge Machining)は、電気の力で金属を溶かして形を作る加工技術です。切削加工では刃物が届かない深い穴や、硬すぎて削れない材料の加工に威力を発揮します。

この記事では、放電加工歴40年以上の技術者の知見をもとに、原理・種類・メリット・デメリット・切削との使い分けまでを、初めての方にもわかりやすく解説します。

目次

放電加工の原理|なぜ電気で金属が削れるのか

放電加工の基本原理は「アーク放電による金属の溶融・除去」です。具体的には、次のように加工が進みます。

放電加工の4ステップ

  1. 電圧をかける:電極とワーク(加工対象物)の間に高電圧をかけます。両者の間には絶縁性の加工液(灯油系または水系)が満たされています。
  2. 放電が発生する:電極とワークの距離が数μm〜数十μmまで近づくと、加工液の絶縁が破れてアーク放電(火花)が発生します。
  3. 金属が溶融・蒸発する:放電点の温度は3,000〜6,000℃以上に達し、ワーク表面の金属が瞬間的に溶融・蒸発します。
  4. 溶融物が除去される:加工液の急速な気化膨張により、溶けた金属(加工屑)が吹き飛ばされ、加工液によって冷却・洗い流されます。

この放電サイクルが1秒間に数千〜数万回繰り返されることで、少しずつ金属が除去され、目的の形状が作り出されます。

重要なのは、電極とワークが物理的に接触しない「非接触加工」である点です。刃物で削る切削加工とは根本的に異なる原理であり、これが放電加工ならではのメリットを生み出しています。

放電加工の種類|形彫放電とワイヤー放電

放電加工は、大きく分けて3つの種類があります。

①形彫放電加工(しんかーEDM)

目的の形状に加工した銅やグラファイト製の電極を、ワークに押し当てるように放電させ、電極の形状をワークに「転写」する加工法です。

主な用途:

  • 金型のキャビティ(凹形状)加工
  • 深穴・止まり穴・六角穴の加工
  • リブ・溝・複雑形状の加工
  • タップ・ドリルの折れ込み除去

特徴:3次元の自由な形状を加工できる反面、電極の製作が必要になるため、電極設計のノウハウが品質を左右します。

②ワイヤー放電加工(ワイヤーカット)

直径0.05〜0.3mm程度の細いワイヤー(真鍮線)を電極として、ワークを糸鋸のように切断する加工法です。

主な用途:

  • 精密な輪郭形状の切り出し
  • パンチ・ダイの製作
  • 歯車・スプラインの加工
  • 微細スリットの加工

特徴:ワイヤーは常に新線が供給されるため電極の消耗を気にする必要がなく、高精度な輪郭加工が得意です。ただし、貫通した形状しか加工できない(止まり穴は不可)という制約があります。

③細穴放電加工

パイプ状の電極を使い、φ0.1mm〜数mmの微細な穴をあける加工法です。ガスタービンの冷却穴、ワイヤー放電のスタート穴、エア抜き穴などに使用されます。

放電加工のメリット|切削にはない5つの強み

1. 硬度に関係なく加工できる

切削加工では刃物の硬度がワークの硬度を上回る必要がありますが、放電加工にはその制約がありません。焼入れ鋼(HRC60以上)、超硬合金(HRC90超)、インコネル、チタン合金、純タングステンなど、切削では刃が立たない超高硬度材でも、電気を通す金属であれば加工可能です。

2. 複雑な形状を高精度に実現できる

放電加工は公差±0.005mm(5μm)レベルの高精度加工が可能です。刃物の「逃げ」がないため、鋭いコーナーや細いリブ、深い溝なども正確に再現できます。

3. 非接触加工で歪みが少ない

電極とワークが直接触れないため、切削力(加工反力)がゼロです。薄肉部品や精密部品でも、加工による歪みやバリの発生がほとんどありません。

4. 深穴・止まり穴の加工が可能

切削加工では工具長や剛性の制約で深さに限界がありますが、形彫放電加工では深さ350mm以上の深穴も加工可能です。止まり穴(貫通しない穴)にも対応できます。

5. 表面にバリが出ない

放電加工後の表面には切削加工のようなバリが発生しません。後工程のバリ取り作業を削減でき、トータルのコストダウンにつながります。

放電加工のデメリット|知っておくべき3つの制約

1. 加工速度は切削より遅い

放電加工は微量ずつ金属を除去するため、切削加工と比べて加工速度は遅い傾向があります。大量の材料を除去する荒加工には不向きです。ただし、「切削で大まかに削り、仕上げを放電加工で行う」という工程分割により、効率とコストを両立させることが可能です。

2. 導電性のない素材は加工不可

放電加工は電気の放電を利用するため、セラミックス、ガラス、プラスチックなどの絶縁体は加工できません。対象は金属など導電性を持つ素材に限られます。

3. 電極の製作コストがかかる(形彫の場合)

形彫放電加工では、加工形状に合わせた電極を製作する必要があります。単純な穴形状であれば既製品の電極が使えますが、複雑な形状の場合は電極の設計・製作にコストと時間が必要です。ただし、電極設計の経験が豊富な工場であれば、既存電極の組み合わせや工法提案によってコストを抑えることが可能です。

切削加工との使い分け|どちらを選ぶべきか

「放電加工と切削加工、どちらに依頼すべきか」と悩む方は多いでしょう。以下の判断基準を参考にしてください。

判断基準 切削加工が向いている 放電加工が向いている
材料の硬度 HRC40以下の一般鋼 HRC50以上の焼入れ鋼・超硬
形状 外形・貫通穴・単純形状 深穴・止まり穴・微細穴・複雑3D
加工量 大量の材料除去が必要 仕上げ加工・微量除去
数量 大量生産向き 少量・単品・試作向き
精度要求 一般公差 ±0.01mm以下の高精度
納期 短時間で大量加工 高精度仕上げに時間をかけられる

結論として、切削と放電は「競合」ではなく「補完」の関係にあります。切削で荒加工を行い、放電加工で仕上げるという工程設計が理想的です。

まとめ

放電加工は、電気エネルギーで金属を溶融・除去する非接触加工技術です。切削加工では対応できない高硬度材・深穴・複雑形状の加工に強みを持ち、金型製造をはじめとする精密加工分野で不可欠な技術となっています。

当社ギャップ・イーディーエム(GAP.EDM)は、形彫放電加工歴40年以上の専門工場です。「この材質は加工できるか?」「切削と放電、どちらが良いか?」といった技術的なご相談にも、熟練技術者が直接お答えします。

放電加工のご相談・お見積りは無料です

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