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【技術解説】旋盤・ブローチ不可の「止まり穴六角穴・スプライン」を放電加工で実現|逃げ溝不要

技術解説 最終更新日:2026.02.04

旋盤・ブローチで不可能な「止まり穴」への
六角穴・スプライン加工技術論

刃物の逃げ場がない袋小路形状や、ブローチ盤が使用できない難削材への異形穴加工。設計段階で「加工不可」と判断される形状を、放電加工(EDM)の転写技術がいかに解決するか。その技術的根拠と設計メリットを詳解する。

この記事の要点(Executive Summary)

  • 「逃げ溝(アンダーカット)」は不要: 放電加工は刃物を使わないため、止まり穴の底ギリギリまでストレートに加工可能。
  • 「応力集中」の回避: 逃げ溝によるシャフトの強度低下を防ぎ、部品の小型化・高剛性化に貢献。
  • 「超硬・難削材」への適用: HRC90を超える超硬合金やインコネルに対しても、精度を落とさず複雑形状を形成。
  • 「位相」の完全同期: 外径ギアと内径スプラインの角度合わせなど、複合的な位置決めが可能。

なぜ、従来の切削工法では不可能なのか

通常、六角穴やスプライン加工には「ブローチ盤」や「シェーパー(形削り盤)」が用いられます。しかし、これらの工法は物理的な刃物を往復運動させるため、以下の致命的な制約が発生します。

比較項目 旋盤・回転工具 ブローチ・シェーパー GAP.EDMの放電加工
加工原理 刃物の回転切削 刃物の直線引き抜き 電極形状の非接触転写
止まり穴 (袋小路) × 角穴は加工不可 × 刃物が底に当たる ◎ 底付き形状が可能
逃げ溝 (ヌスミ) × 必須 (強度低下の要因) ◎ 不要 (設計自由度UP)
コーナーR × 大きなRが残る △ 刃物形状に依存 ◎ R0.05以下のピン角
対応硬度 △ HRC50程度まで △ 専用刃物が高額 ◎ 超硬(HRC92)も可

設計の自由度を拡張する4つの技術

逃げ溝レスによる「高剛性化」

ブローチ加工では刃物を抜くために必須となる「逃げ溝(アンダーカット)」は、シャフトの断面積を減少させ、応力集中の原因となります。放電加工なら溝が不要なため、軸の太さを維持したまま有効嵌合長を確保でき、部品のダウンサイジングや強度アップに直結します。

メリット:部品の小型化・軽量化・強度向上
インボリュート・特殊スプライン

JIS規格外の特殊なスプラインや、海外規格のインボリュートセレーションも対応可能です。高価なブローチ刃物を特注する必要がなく、電極(グラファイトや銅タングステン)をNC加工で製作するため、イニシャルコストを大幅に抑えつつ、試作1個から対応できます。

対応素材:超硬・インコネル・ハステロイ・SKD11等
ピン角・極小コーナーRの追求

回転工具では物理的に不可能な「ピン角(Rゼロに近い状態)」も、放電加工なら実現可能です。電極のエッジを鋭利に仕上げ、さらに電極を微細に揺らす「揺動加工(オービタル)」で側面ギャップを制御することで、R0.05以下のコーナー精度を出せます。

用途:精密金型、高精度カップリング
内外径の「位相」完全同期

「外径のギアの山と、内径のキー溝の角度を完全に一致させたい」。このような位相合わせも、独自の割り出し治具と測定技術により、ミクロン単位で制御します。ワイヤーカットと形彫り放電の複合加工により、同軸度と位相精度を保証します。

技術:割り出し円テーブルとの連動加工

技術Q&A(Technical FAQ)

底面コーナーのRはどのくらい残りますか?
電極の消耗を考慮し、通常はR0.1〜R0.3程度残りますが、仕上げ電極を分けることや、電極材質を「銅タングステン」に変更することで、限りなくピン角(R0.05以下)に近づけることも可能です。設計許容値をご相談ください。
有効深さ(L/D)の限界は?
一般的に電極径の10倍〜20倍程度ですが、当社では独自の加工液噴流技術(ジャンプ加工)により、それ以上の深穴加工も実績があります。最大ワーク高さ1,300mmまで対応可能です。
超硬合金へのネジ切り(タップ加工)は可能ですか?
はい、可能です。切削タップでは不可能な超硬へのネジ加工も、「ネジ電極」を使用した放電加工(揺動ヘリカル加工)により、M2〜M20程度のネジ山を形成できます。

「その形状、加工可能か?」を即答します。

図面(PDF/DXF等)をお送りいただければ、最適な電極設計とコストを最短3時間で解析・回答します。
「逃げ溝は本当に不要か?」といった設計段階からの技術相談も歓迎します。

図面診断・技術相談を依頼する

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